聞き手・大坂尚子
青年海外協力隊員で海外にいた20代の頃、現地で「日本は何がすごいの?」と聞かれました。彼らは自分の国について「人が良い」「お金はないけど幸せ」などと即答する。僕はきちんと答えられなかった。ショックでした。
その経験から色々な本を読んだり、人に会うようにしたりしています。社会科の教員なのでルーツにも興味が湧く。この「日本のこころの教育」(致知出版社)という本は知り合いの高校野球指導者から薦められました。国語の教員だった境野勝悟さんが高校生に講演した内容をまとめたもので、日本語の語源が書いてあって奥深かったです。
その一つが「こんにちは」。「今日(こんにち)は、元気ですか」と言いますよね。元気は太陽のエネルギー。つまり「太陽と一緒に明るく生活していますか」という意味だそうです。太陽とともに暮らしてきた農耕民族の歴史を感じます。今、海外で日本のことを聞かれたら「日本は自然や太陽を大切にしている。それが派生して日常会話やあいさつにもなっています」と答えますね。
野球部員はよく「ちわっ」とあいさつします。でもただ大声を出すより、その意味を知れば人生に深みが出るはず。さくっと読めるのでオススメです。(聞き手・大坂尚子)
〈つつみ・なおひこ〉 兵庫県生まれ。20代の時に青年海外協力隊としてアフリカで野球を指導。2006年からおかやま山陽の監督に就任し、17年夏に初めて全国選手権大会に導いた。48歳。
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新型コロナウイルス感染拡大の影響で高校球児の多くが、満足に練習できないでいる。体を動かせないときは、頭を鍛えよう。指導者たちが、魂を込めて君たちに贈る一冊。『一冊入魂』
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