新型コロナウイルスの感染拡大が、国内の雇用にも大きな影を落としている。28日に発表された3月の有効求人倍率は3カ月連続で下がり、失業率も悪化。足もとでは、影響を真っ先に受けた観光業などを中心に解雇や雇い止めの動きが広がっており、先行きはさらに危ぶむ見方が強い。
厚生労働省が発表した3月の有効求人倍率(季節調整値)は1・39倍。前月より0・06ポイント下がり、3年半ぶりに1・4倍を割った。
目立つのが新規求人の落ち込みだ。1月から前年同月比で10%超(原数値ベース)の減少が続いており、3月も12・1%減。米中貿易摩擦の影響が続いていることや、1月から求人票の記載内容が増えて求人の出し控えがみられることに加えて、3月は宿泊業などを中心に新型コロナの影響が出てきているという。厚労省は雇用情勢判断に、前月はなかった「求人が減少」という表現を使い、ITバブル崩壊後の2001年9月以来、約18年半ぶりに3カ月連続で下方修正した。
総務省が発表した3月の完全失業率(季節調整値)は2・5%で、前月より0・1ポイント悪化した。完全失業者は172万人で、前月から6万人増えた。4月以降は「3月より厳しくなると想定される」(担当者)としている。
大打撃の観光業、非正規にしわ寄せ
「観光関連の求人が、軒並み下がっている。おそらく4月は、もっと厳しい状況になる」
28日、記者会見した京都労働局の金刺義行局長は危機感をにじませた。国内外からの観光客に景気を支えられていた京都府の有効求人倍率(受理地別)は1・44倍で、前月より0・10ポイント低下。下げ幅は全国平均よりも大きい。特に、宿泊業や飲食業などが打撃を受けた。4月に同局が受けた解雇などの相談は、これまでに111件。すでに2、3月の合計の4倍近くだ。
2008年のリーマン・ショックの後は、主に製造業で「派遣切り」などが進んだが、今回は人の動きの影響を受けやすい非製造業でも打撃が広がっている。雇用の先行指標とされる新規求人数は、全国では宿泊・飲食サービス業が前年同月比19・9%減、卸・小売業も15・0%減だった。
「ホテルは休業になる。もう…

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