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 「けん玉ゆいちゃん」の愛称で知られる小学生が山口県萩市にいる。市立明倫小学校5年生の中村結(ゆい)さん(10)。2017年の小学2年生のとき、未成年では最高位となる5段に昇格。写真投稿サイト「インスタグラム」に毎日、新しいけん玉の技を投稿する。「すご技」を支える秘密とは。

 十字状のけんと玉を、右手で交互に投げ上げて受け止める技「ジャグリング」。玉がけん先に刺さった瞬間、「イエーッ」と声を上げた。こわいぐらい真剣な表情だった結さんが、画面に向かって破顔した。

 萩市の田町商店街の一角にある空きスペースで、15日夜に撮影されたインスタグラムの動画の一場面だ。

 玉を大皿の縁とけん先に寄りかかるように乗せる技「うぐいす」、玉を垂直に引き上げて中皿の縁に乗せ、静止させる技「中皿極意」――。結さんはこの日、約10種類の連続技に挑戦。撮影するのは母親の美由さん。約30分かけて20秒ほどの動画を完成させた。

 「けん玉のコツはひざの使い方。後はやりたい技を決めて練習をすること」と結さんは話す。

 インスタグラムは、2016年12月9日に開設し、けん玉動画の投稿を始めた。宙を回ったけんを逆さにして玉の上に乗せ、バランスを取る難易度の高い技「ボーダーバランス」。納得できる連続技を披露するまでに約3時間かかったときも。でも、「投稿をやめてしまうと、ここまで頑張ったことがゼロになってしまう気がして。これからも続けたい」と結さん。投稿数は1700を突破し、フォロワーは9300人を超えた。毎回違う技を見るのを楽しみしている国内外のファンも多いという。

 けん玉を始めたのは小学1年生だった16年5月。下関市であった催しで、「けん玉伝道師」として活動していた防府市の原田祐紀さん(49)の技に、恋に落ちた。

 その場で、玉を真っすぐ引き上げて大皿にのせる技「大皿」に成功し、10級を獲得した。「初めてもらった小さな賞状がうれしかった」。のめり込んだ。

 17年1月、山口市内のけん玉道場に入門し、才能が花開いた。その年の9月には、未成年では最高位となる5段に昇格した。けん玉を始めてわずか1年4カ月。日本けん玉協会の堤早知子事務局長は「20年間かけても5段に昇格できない大人もいる。小学2年は驚異的な早さ」と驚く。

 今年2月、日本けん玉協会県支部が主催し、山口市で開催されたけん玉道選手権大会では、初優勝を飾った。県内外から大人も含めて66人が出場。決勝では小学生の全国大会で優勝経験をもつ広島県の6年生の男児を破った。

 裏打ちするのは、圧倒的な練習量と集中力だ。

 結さんを指導した原田さんは「難しい技を、できるまで頑張る。ものすごい練習量。もう私(の実力)を超えています」。美由さんは「けん玉で培った集中力と洞察力は、学校の勉強にも生かされています」と話す。

 ダンスのレッスンも始めた。至誠館大学ダンス部に18年10月に入り、毎週レッスンに通う。ダンスとけん玉を融合したパフォーマンスにも本格的に取り組んでいる。

 将来の夢は、小児科医か薬剤師。「子どもたちの病気を治しながら、けん玉を見せてあげたい」(林国広)