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 新型コロナウイルスの感染拡大で、各地で小中高校などの休校が続いています。家にこもらざるを得ない子どものストレスが増えたとき、どう対応すればいいのでしょうか。アンガーマネージメント研究会代表の本田恵子・早稲田大教授(教育心理学)に聞きました。

拡大する写真・図版本田恵子・早稲田大教育学部教授(教育心理学)

1960年生まれ、国際基督教大卒。中学・高校教員を経験後、米コロンビア大大学院でカウンセリング心理学博士号取得。スクールカウンセラーなどを経て現職。専門は学校心理学、特別支援教育。公認心理師、臨床心理士。アンガーマネージメント研究会代表

 新学期以降も長引く休校で、子どもたちのストレスが増加しています。いったんは4月から再開したところもあっただけに、「二次感染」とも言える状態。感情の起伏が激しくなり、暴言を吐いたり泣いたり、モノや親きょうだいにあたったり、頭痛や食欲不振、不眠など身体症状が出る場合も少なくありません。突然の休校発表に驚き過度に興奮した第1期、通常と異なる生活にショックを受け、様々な心身の反応が出始めた春休みまでの第2期を経て、いまはいやが応でも新しい状況に適応せざるを得ない第3期に入りました。その揺れる心理状態を理解し、タイプや発達段階に合わせたケアが必要です。

 子どもたちは大きく3タイプに分かれるでしょう。一つ目は在宅という新しい生活に何とか慣れ、それなりに日常生活をキープして、学習習慣が付いてきた子たちが2割。二つ目は、3月までに大きく生活が崩れ、学校が始まったら戻してもらおうと思っていた受け身の子たちで、7割近くのボリュームゾーン。三つ目は以前から家庭や学校との関係が悪く、休校でさらに気持ちの持って行く場がなくなり、ネット依存なども懸念される子たち。1割ぐらいはいるでしょう。

 順応してきた子どもたちは、少し高めの目標を立て計画的に実践していけばよし。

自主性を育てる機会に

 二つ目の受け身の子たちには、アプローチの仕方に注意が必要です。少しの刺激で危うい状況になりかねない一方、上手に自主性を育てる機会に出来れば成長します。新学期に教科書やプリントは届いたものの、どう取り組んでよいか分からない。先生側から電話なり動画なりで直接手を差し伸べてほしい。担任や教科担当が交代して生徒の顔も分からない新学期だけに、早期に信頼関係を築かねばなりません。学年別やクラス別の時間割などで所属意識を持たせ、学習計画や到達目標を示して、「新学期は始まっている」との認識を新たにさせる。学校がある時と同じペースで日課表を作らせて学習の進み具合をチェックし、オンライン学習も「何を」「どこまで」「いつまでに」と具体的に導きます。

 三つ目の子たちは、いますぐ特別な配慮と個別対応が不可欠です。

 心のよりどころである友人から離れていることは、大人の想像以上に非常に大きなダメージを伴います。低学年までは実際に相手が見えないと、「いなくなった」などと漠然とした不安が募ります。高学年なら気の合う特定の友だちと遊びたい、代わりの人では満足できない、ということを理解してあげる。仲の良い友人と定期的にビデオ通話をさせるなど、目に見える形で安心感を与えるといいでしょう。

 中学生以上はスマホでSNSなどとつながっていますが、濃淡は分かれます。自分の趣味や部活など熱中できることが分かっていて、主にその集団と連絡を取り合う子は、使用時間を決めたうえで自主性に任せ、自らコントロールする力を育てます。

SNS使える時間を制限

 一方、多くはとにかく誰かとつながっていることで安心する子どもたちです。一日中SNSを気にするので、学校と同じように使える時間を昼休み、放課後と同じ時間帯などに制限します。部活のコーチなどから、家でできる筋トレやイメージトレーニングなどのルーティンを配信するのも有効です。元々集団が苦手なタイプは一定数おり、むしろ休校でほっとしているなら、そっとしておく。

 保護者も子どもの世話をしながらの在宅ワークを余儀なくされるなど、生活リズムが変化して余裕がないのも実情でしょう。ですがSOSの元になる心の状態を理解し、子どもの話を聞くことが、結局は事態収拾の早道になります。

 学校が再開されたら、最初の1週間は、調整期間として無理をさせない。しかし、2週目からは逆にしんどくても、生活を通常に立て直しましょう。それも4月時点に戻るのではなく、例年通りの連休明け、5月中旬と考え、季節に合わせて動く。事態収拾後はできる限り早めに通常環境を取り戻すことが、危機管理の鉄則です。(聞き手・柏木友紀)

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 1960年生まれ、国際基督教大卒。中学・高校教員を経験後、米コロンビア大大学院でカウンセリング心理学博士号取得。スクールカウンセラーなどを経て現職。専門は学校心理学、特別支援教育。公認心理師、臨床心理士。アンガーマネージメント研究会代表