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 新型コロナウイルスの感染が広がるなか、感染の有無を調べるPCR検査拠点を開設する動きが進んでいる。各地の医師会と区市町村との連携した取り組みだが、場所の確保や適切な利用方法の周知など、課題に直面する地域も出ている。

 都医師会などによると、検査を受けられる専門外来には、受け入れ限度を超える要請が相次ぎ、多くの「検査待ち」住民が発生。外来を紹介する保健所も職員や回線を増やしているが、住民からは「電話もつながらない」との声が上がる。地域で診療所を営む医師からは「コロナの感染が疑われる患者も、検査を受けられない状況になっている」との声が出ていた。

 そこで、都内の医師会は自治体と連携し、検体の採取を担う検査拠点を設置することを決めた。保健所を介さず、かかりつけ医が必要と判断すれば検査を受けられる態勢づくりを進める。今月中に約10カ所につくり、さらに増やす予定だ。

「場所の選定のハードルが高い」

 約300人の感染者が確認されている新宿区は27日から、区内のかかりつけ医の紹介状を持った区民が受診できる「PCR検査スポット」を稼働。発症後も保健所に電話がつながらなかったという50代男性がその後に死亡した世田谷区も、かかりつけ医の判断で検査を受けられる拠点を5月中に始動させたいとしている。

 PCRセンターの近日中の稼働をめざす板橋区は、旧小学校の一室を改修して場所を確保。幅2・3メートル、奥行き2・5メートルの検査室で防護具に身を包んだ医師が、鼻から検体を採取する。週2回、1日10~20件ほど検査できる。

 一方、利用方法の周知には課題もある。検査を受けるには医師の判断が必要で、場所も公表されていないが、複数の区は「受けたいという電話が殺到した」と明かす。

 22日にドライブスルー方式の「PCR検査センター」を開設した江戸川区では、名称が似ている区医師会の「医療検査センター」に区民からの問い合わせの電話が複数寄せられた。区はホームページで「医療検査センターでは、PCR検査ができません」と注意を呼びかけた。

 検査拠点の設置に向けて医師会と協議中という中央区の担当者は「場所の選定のハードルが高い」とこぼす。住宅地を離れて土地を確保するのは難しく、「マンションのベランダからテントや防護服姿のスタッフが見えることになり、不安がられるだろうと候補地を見送ったこともある」という。

 港区では、かかりつけ医などの判断を経て保健所内で検体を採取し、緊急性が高ければその日のうちに所内で検査結果を出し、迅速な入院につなげているという。都幹部は「多様なルートで検査が広がることに期待できる」と話す一方、「センターをつくることが目的ではない。地域の実情に応じた取り組みを支援したい」という。(荻原千明)