「努力」に勝るものなし 享栄・大藤敏行監督の一冊

聞き手・山下弘展
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一冊入魂「超一流になるのは才能か努力か?」(アンダース・エリクソン著)

 米・フロリダ州立大の心理学部教授が書いた本です。4、5年くらい前かな、まだ私が中京大中京(愛知)にいたころ、学校のカウンセラーの先生に薦められました。指導する側、生徒、両方の立場から読んでも、何か発見があると思います。

 スポーツや芸術の世界はどうしても才能、DNA、能力、そんな言葉にとらわれがちです。しかし、著者は、あらゆる分野のトッププレーヤーを研究した結果、最終的に一番大事なのは努力だと説いています。

 ただの努力ではありません。本の中では「コンフォート・ゾーン」として紹介されていますが、要は自分にとって居心地のいいところから飛び出すことが大切です。それは身体的な負荷であったり、別の方法を試す、といったような考え方の変革であったりします。

 私の指導する享栄(愛知)も今、練習休止です。でも、生徒にはこう言っています。チャンスじゃないか、この夏は、どの学校もフラットなんだ、と。誰にも指示されないこの期間中、自分の頭で考え、どれだけ自律と自覚を持って過ごせるか。それができた選手が多い学校が、夏のチャンピオンになると思っています。(聞き手・山下弘展

 〈おおふじ・としゆき〉 愛知・中京大中京を指導して1997年の選抜大会準優勝。2009年の全国選手権大会は同校43年ぶり7度目の全国制覇に導く。10年監督退任。18年から享栄(愛知)に移り、監督を務める。58歳。

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で高校球児の多くが、満足に練習できないでいる。体を動かせないときは、頭を鍛えよう。指導者たちが、魂を込めて君たちに贈る一冊。『一冊入魂』

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