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 新型コロナウイルスの感染防止を理由に弁護士以外との面会が禁じられたのは違法だとして、東京拘置所(東京都葛飾区)に勾留中の男性被告(23)が28日、国に禁止処分の取り消しを求める訴えを東京地裁に起こした。「法的根拠にもとづかない措置で、家族と会う憲法上の権利を制約された」と訴えている。

 訴状によると、ドミニカ共和国出身の被告はコカイン密輸に関わった罪で今年2月に起訴され、東京拘置所に勾留中。妻子はスペイン語がわかる職員がいる週2回のうち1回、面会を続けてきた。

 ところが政府の緊急事態宣言を受けて法務省は今月8日以降、7都府県にある38の刑事施設に収容されている被告と面会できる人を原則弁護士だけに制限。東京拘置所では入り口の自動ドアが施錠され、弁護士と証明しないと入れなくなり、被告は家族と会えなくなったという。宣言の対象地域拡大に伴って、20日には面会制限の対象も全国71施設に広がっている。

 訴状で男性側は、「無罪推定」の被告の面会を制限できるのは刑事収容施設法上、懲罰や通訳費用を払わないといった場合だけだと指摘。面会室のアクリル板を完全に目張りする対策が施されているなか、一方的な面会禁止は不合理で、憲法に基づく家族との面会の権利を侵すと主張した。提訴と同時に、一時的に面会禁止を解くための執行停止も申し立てた。

 代理人の和田恵弁護士は「(新型コロナの影響で)裁判が長期化するなか、家族との面会さえできなくなり、依頼者は筆舌に尽くしがたい苦痛を受けている。法の根拠なく勝手に制限してきたことを違法といえるのは裁判所だけだ」と語った。法務省は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。(阿部峻介)