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 新型コロナウイルス対策として実施される1人10万円の現金給付をめぐり、住民票の住所と違う場所に住むDV被害者らが別住所で受け取るための申し出が30日、期限を迎えた。総務省は5月1日以降も自治体に申し出れば別住所で受け取れるようにするとしている。

拡大する写真・図版DV被害で避難している人に自治体窓口で出してもらう「申出書」の様式

 加害者である世帯主が被害者の分も受け取ってしまうのを避けるため、総務省は原則として30日までに申し出るよう呼びかけていたが、仕組みをつくったのが直前でもあることから、1日以降に申し出た場合も対応することにした。申し出より先に世帯主に一括して支払われていた場合、被害者に10万円を支払ったうえで世帯主に返金を求める。

 1人一律10万円の給付金について、政府は世帯主が家族の分も一括で申請し、世帯主の口座へ一括で振り込むことを原則とした。ただ、DV被害者のほか、虐待を受けて児童養護施設や里親などのもとで暮らす子どもらが受け取れなくなる可能性があるため、本人が自治体に申し出ればお金を受け取れるように特例をつくった。

 それでも被害者が世帯主と同居しているケースなど、給付金を受け取れない人が出る可能性は残る。国連女性機関(UN Women)は3月、各国の新型コロナ対策で実践すべきポイントとして「現金給付を考えている場合は、女性の男性への経済的依存を緩和するため、世帯単位ではなく個人を対象とする」ことを挙げた。

 東洋大の村尾祐美子准教授(労働社会学)は「世帯主に入り口をコントロールさせるやり方は世帯主への依存を深め、家族間の関係を不均衡にしてしまう。これからの社会で求められる家族像と一致するのか」と疑問を投げかける。(岡林佐和)