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 風薫る5月。新型コロナウイルスの暗雲は今なお、晴れない。愛媛県内で初めて感染者が確認されたのは、2カ月前の3月2日だった。伊予銀行愛南支店の40代女性行員。個人が特定されかねない中、銀行はあえて、大切な従業員が感染したと公表に踏み切った。

 3月2日午前8時半。中村時広知事が臨時の記者会見を開き、県内初の感染確認を発表した。報道各社に配られたプレスリリースには「愛南町居住、40代女性、会社員」。プライバシー保護のためだとして、どこの会社かは公表されなかった。

 その4時間半後。同じ県庁で、伊予銀頭取(当時)の大塚岩男さんが記者会見に臨んだ。「先ほど知事の会見があり、愛南町在住の40代女性会社員が感染したと発表された。女性は愛南支店の行員です」

 伊予銀が行員の感染可能性を把握したのは、2日前の2月29日だった。大阪市のライブ会場で集団感染があったとの報道を受け、行員自ら、ライブへの参加を会社や保健所に報告。無症状ではあったが、3月1日の早朝から検査に入った。

 報告を受けた愛南支店長は、松山市の本店へ連絡。日曜日の3月1日、幹部が本店に集まり、緊急の対策本部会議が開かれた。

 重点的に話し合われたのは、陽性だった場合、愛南支店の業務継続のための措置をどうするか。支店の消毒のために1営業日は窓口の休業が必要。その日の業務をどうするか、代替職員をどこから派遣するか。

 適用されたのが、2009年に新型インフルエンザが流行した際に社内で作った、感染症に関する規定。職員派遣の手順などが定められていた。広報担当者は「柱となるものがすでにあった。それを今回、アレンジして使った」という。

 一方、「支店を閉めるには、そ…

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