感染症は、外国人やホームレス、失業者、高齢者など、社会の弱いところを直撃します。
私は1990年代、ミャンマーから逃れてきたロヒンギャ難民など難民や被災民の支援活動をアジア各地でしてきました。今は横浜市の医療機関で診療しながら、外国人のコミュニティーに入って医療相談をしています。その経験から、社会の異変が起きるたび、最も被害を被るのは、社会的な弱者だと痛感しています。
例えばオーバーステイの人が感染症にかかった場合、通報されるのを恐れたり、医療費が払えず我慢したりしているうちに重症化してしまう。本人にも悲劇ですが、高額な医療費になって社会にも跳ね返ってきます。この間に感染を広げてしまう可能性もある。
新型コロナウイルスの感染が疑われる症状があっても検査が受けられない例は日本人でも相次いでいる。外国人ならなおさらで、実際にそうした相談も寄せられています。放置されやすい彼らへの医療体制を整える必要があります。
歴史を見るとコレラ、結核、エイズなど感染症が広がるたび、外国人やマイノリティーへの差別が現れます。それは不安感から来るものです。対処にはまず正確な情報を伝えることです。
新型コロナは、人種や国籍を問わず誰でもかかる可能性がある。ただ、8割は無症状や軽症ですむ。その認識を広め、差別の根を断たなければなりません。
新型コロナを「敵」としてやっつけよう、とよく言われますが、根絶するのは難しく、共存するしかないでしょう。
今回のパンデミックは、文明化…
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朝日新聞社会部