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 「熱やせきがあるけれど、ほかでは診てもらえない」「呼吸が苦しい」「味覚がない気がする」――。新型コロナウイルスの感染が広がる中、埼玉県三芳町の「ふじみの救急クリニック」にはPCR検査を求め連日、多くの人が訪れる。

 ほとんどの患者がCT検査も希望し、医師が肺の画像を診断。PCRの検査数は日に150件を超える。

拡大する写真・図版PCR検査の検体を採る看護師の園田奈美さん(31)。新型コロナウイルスに向き合う日々について「プレッシャーはあるけれど、どこかがやらなきゃいけないことだから」と話した=2020年4月28日午後8時31分、埼玉県三芳町、川村直子撮影

 クリニックでは新型コロナウイルスに関する受付を通常窓口と切り離し、救急救命士らが屋外でトリアージ(治療優先順位の選別)を行う。医師が院内で診察した後、看護師もしくは臨床検査技師が屋外でPCR検査の検体を採る。

拡大する写真・図版CT検査で肺の画像を診断する、「ふじみの救急クリニック」の鹿野晃院長(右)=2020年4月28日午後0時56分、埼玉県三芳町、川村直子撮影

 患者は車内で待機でき、院内滞在時間を極力減らすことで、患者の負担と院内感染のリスクを小さくする仕組みだ。検体は民間検査会社に運ばれ、翌日に結果が出る。

拡大する写真・図版夜、PCR検査の検体がクリニックから検査会社へ運ばれる。翌日には結果の報告があがってくる=2020年4月28日午後11時12分、埼玉県三芳町、川村直子撮影

 診察エリアは1階部分だけの小さなクリニック。3月下旬、帰国者・接触者外来の指定を受けた。「感染拡大を防ぐにはPCR検査数を増やし、患者を安全に隔離することが不可欠」。そう判断した鹿野晃院長(47)は看護師や救急救命士などスタッフの人数を増やし、陽性患者の受け入れを想定したプレハブ個室を9床つくるなど、体制を整えてきた。

拡大する写真・図版プレハブの個室病床を巡回する際は、フェースガード、キャップ、二重の手袋、防護服を身につける=29日午前0時16分、埼玉県三芳町、川村直子撮影

拡大する写真・図版看護師の溜祐一さん(38)は救急救命士の資格も持つ。DMATの一員としてダイヤモンドプリンセス号の後方支援にも携わった=2020年4月28日午後9時4分、埼玉県三芳町、川村直子撮影

 ゴールデンウィークも休みはない。夜間はスタッフが限られ、従来の救急搬送などにも対応しているため、診察は原則午前9時から午後8時まで。症状が強く出ている場合は24時間受け入れている。

拡大する写真・図版発熱症状があり、ビニールで顔を覆われて救急搬送されてきた女性=2020年4月28日午後0時50分、埼玉県三芳町、川村直子撮影

 鹿野晃院長は「マスクやガウンなど医療物資が不足する中、地域医療を支えるためスタッフ一丸となっている。失われた命は戻ってこない。症状のない人は今は出歩かず、過ごしてほしい」と話す。(川村直子)