[PR]

 新型コロナウイルスの影響による最初の休校から約3カ月。道内の小中高校は1日から再開する。感染予防を図りながら、どう学習の遅れを取り戻すか。異例の事態を前に、学校現場は手探りしながら一歩を踏み出す。(武田啓亮、磯部征紀)

 学校内の感染をどう防ぐか。休み時間などに子どもどうしが密着しがちな小学校にとっては、特に大きな課題となっている。感染者の確認が続いている札幌市では、学校再開後も12日までは少人数による短時間登校を実施する。

 同市立円山小学校では学年ごとに三つのグループに分けて、登校時間をずらす。教室の席は前向きに配置し、1メートルほどの間隔を取った。給食も児童が配膳をするのは避けて教員が行うことにした。

 授業は視聴覚室なども活用する。また授業時間は通常の45分を40分に短縮。合間の休憩時間は5分から10分に延ばす。子どもたちが、トイレ後の手洗いなどをゆとりを持ってできるよう配慮したという。トイレの場所も学級ごとに指定する予定だ。越野宗丈教頭は「子どもたちにソーシャルディスタンスの意識をどう持ってもらうか。新しい生活の意識づけを図ることが、この2週間で大事なことだと思う」と話す。

 札幌市の私立北星学園女子高校は感染予防で教室の席の間隔を広げるため、1クラスの生徒数を20人以下に減らした。ただ、これだと全ての生徒が一緒に授業を受けるだけの教室が確保できないため、同校は「当面は分散登校で様子をみたい」と話す。体育館での授業も検討したが、声が反響して集中できないといった理由から断念したという。

 高校生の場合、電車やバスを使って通学する生徒も多い。道立札幌東高校では、1コマの授業時間を5~10分短縮して登下校時間をずらし、通勤ラッシュと重ならないようにしたという。また校内に消毒液を設置し、教室の出入り口に手洗いを呼びかける注意書きを貼るなどの準備も進めてきた。消毒がしやすいよう、電灯のスイッチの上にシートを貼るといった細かい工夫も試みている。

     ◇

 新年度から約2カ月間休校となったため、この間の学習の遅れをどう取り戻すかも大きな課題だ。

 石狩地方のある公立中学校の教頭は「例年と同じように学校行事をやることは厳しい」と明かす。同校では6月の体育行事を中止。2学期に予定している文化祭などについても感染防止のため中止し、授業時間にすることも視野に入れる。

 札幌東高校は学校再開後にスムーズに授業に移れるよう、休校中にウェブ会議システム「Zoom」を使ってホームルームを行っていた。ユーチューブで授業の動画を公開したり、郵送で課題を添削したりといった取り組みも続け、学習に影響が出ないよう配慮してきた。

 ただ、田尻勝敏校長は「学習の遅れだけでなく、体力の低下も心配だ」と指摘する。課題を郵便ポストに投函(とうかん)したのが2週間ぶりの外出という生徒もいたという。

 夏休みを短縮する動きも出てきた。道教委は市町村教委に対し、授業時間の確保のため、小中学校では夏休みと冬休みで想定される登校日が計20日程度に上るという目安を示した。各市町村で検討が進む。

 北見市の小中学校では毎年7月25日から8月16日が夏休みだが、同市教委は今年は土日を除き8月7日まで授業をすることにした。この結果、夏休みは8月8日~16日の9日間に短縮となる。冬休みは通常通り24日間程度の予定だが、仮に感染拡大での再休校があった場合などは短縮の可能性もあるという。

 札幌市教委も夏休みに授業日を設定する方向で調整しており、近く各学校に対して日数を示す方針だ。道立高校では夏休みと冬休みの期間はそれぞれ「25日以内」となっている。具体的な日数や期間は各学校の裁量に任されており、すでに期間の短縮を検討している学校もある。

 ただ現場の教員たちは授業時間の確保の一方で、万全の感染対策も求められる。札幌市のある中学校の教員は「学年に応じた履修内容をきちんと学ばせてあげられるかが悩ましい。感染予防対策が前提だが、将来的にどこまで緩和されるかで学習状況も変わってくるだろう」とみる。

     ◇

 学校再開にあたって、道教育委員会は学校現場での注意点を各市町村教委などに通知した。

 国のマニュアルは児童生徒と教職員のマスク着用や座席同士を可能な限り1~2メートル離すことなどを求めている。道教委は学校再開後、児童生徒に対して速やかに感染症対策に関する指導をするよう要請。石狩管内の学校については、地域の感染状況に応じ、6月以降も一定期間、時差通学や午前授業、分散登校をして教育を円滑に実施するように促した。

 公立の小中学校については授業時間確保への対策も例示した。1コマの授業時間を5分短縮し、短縮時間分は別の形で補いながらコマ数を増やす、夏休み、冬休みに計20日程度の登校日を設けるといった方法を挙げている。運動会などの行事も感染対策が難しければ延期や中止を求めている。