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 新型コロナウイルスの対策を検討する政府の専門家会議(座長=脇田隆字・国立感染症研究所長)は1日、現状の分析を踏まえた提言をまとめた。国内の新規感染者は減少傾向に転じているものの、再び感染が広がれば医療体制が逼迫(ひっぱく)するおそれがあると指摘。当面は外出の自粛などの対策を続ける必要があるとした。

 専門家会議は4日にも、各地の感染状況など、より詳しい分析を改めて示し、今後の対応策を提言する。政府はこれを踏まえ、同日中に基本的対処方針等諮問委員会を開き、緊急事態宣言の延長幅や内容などについて正式に決める方針だ。

 1日の提言によると、宣言による外出や営業の自粛などにより、全国の累計感染者は爆発的な増加(オーバーシュート)を免れ、新たな感染者数は減少傾向に転じている。ただし、その「減少の速度」は、3月下旬から生じた発症者の「急増の速度」に比べると緩やかにみえる、と指摘した。

 人出の減少などをもとに算出した「接触頻度」についても、目標とする8割減を達成していない地域があったと分析した。

 一方、長丁場の対策が続くことを前提に、今後は①感染の状況が厳しい地域②新たな感染者数が限定的となった地域の二つが混在していく、と指摘。①の地域では新たな感染者数が一定水準に下がるまでは、外出自粛などの対策が必要で、②の地域でも、3密(密閉・密集・密接)の回避やテレワークなど感染拡大を防ぐといった、新型コロナの流行後に広がり始めた「新しい生活様式」の普及が求められるとした。

 外出自粛などの対策をゆるめるかどうかは、「感染の状況」と「医療提供体制」の二つの要素を踏まえて判断するとした。感染の状況は新たな感染者数などが十分に抑えられていることなどをあげたが、具体的な数値などには言及しなかった。ほかに、不足が指摘されているPCR検査が迅速に実施できることも条件とした。医療提供体制は患者の受け入れ先の調整、軽症者の宿泊施設の確保など病状に応じた対応が可能な体制が構築できていることなどが必要としている。

 学校については、感染防止の対策などをとったうえで、活動再開のあり方を検討していく必要性を指摘した。また、長期の外出自粛による児童虐待や、営業自粛による倒産、失業、自殺などへの対策に必要な支援を講じていく必要があるとした。

 記者会見で、副座長を務める尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は、対策を続ける期間について「時期を明確に言えるようなウイルスではない。1年とか半年とかは残念ながら誰も言えない」と述べた。(土肥修一)

専門家会議の状況分析と提言の骨子

・現時点で爆発的な増加(オーバーシュート)を免れ、新規感染者数は減少傾向

・大都市圏から人が移動し、地方で感染が拡大

・新規感染者が減っても、医療現場の逼迫(ひっぱく)した状況は緩やかにしか解消されない

・対策は「感染状況が厳しい地域」と「新規感染者数が限定的となった地域」で区分け

・新規感染者数が限定的となった地域も、3密の回避や手洗い、テレワークや時差出勤などの「新しい生活様式」で長丁場の対応が必要