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 米食品医薬品局(FDA)は1日、新型コロナウイルス感染者の治療薬として、抗ウイルス薬レムデシビルについて緊急時の使用許可(EUA)を出した。これまでは臨床試験などに限られていたが、広く治療に使えるようになる。これを受け、厚生労働省は国内の薬事承認の審査を簡略化できる「特例承認」の手続きに入る。2日午後にも必要な政令改正を行うとみられる。

 製造する米医薬大手ギリアド・サイエンシズは150万人分を米政府に寄付すると表明。米国の医療機関に配布される。使用対象は、新型コロナに感染後、血中酸素濃度が低下したり、人工呼吸器を使ったりしている重症の入院患者。深刻度に応じて5日間または10日間、静脈から投与される。FDAは副作用として肝臓の炎症や細胞損傷、低血圧、吐き気、発汗、悪寒をあげている。

 レムデシビルはもともとエボラ出血熱の治療用に開発されたが、有効性が証明できず、どの病気にも承認されていない。一方、米国立アレルギー感染症研究所が中心となった1063人を対象とした大規模臨床試験では、一部の新型コロナの患者の回復期間を早める結果がみられたという。FDAは「レムデシビルを新型コロナの治療に使う利点は、潜在的なリスクに勝ると考える」としている。

 緊急時の使用許可は、政府が公衆衛生の緊急事態を宣言した時に、ほかに手段がない場合に限り、未承認や承認外の薬や検査でも一定の条件下で使用を認める米国の制度。通常の薬事承認と異なり、一時的なものだ。日本の特例承認は、国民の健康に重大な影響を与える恐れがある病気の蔓延(まんえん)を防ぐために必要で、日本と同水準の承認制度がある国で販売されるなどした医薬品が対象。審査手続きが簡略化され、早ければ1週間程度で薬事承認が可能とされる。(ワシントン=香取啓介、土肥修一)