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 被爆の惨状を描いた丸木位里(いり)・俊(とし)夫妻の連作「原爆の図」を所蔵する「原爆の図丸木美術館」(埼玉県東松山市)が、存続のために緊急の寄付を呼びかけている。コロナ禍で多くの文化施設が休館する中、行政や企業からの大きな助成のない私設の同美術館は、休館による減収で運営が厳しくなっているという。

 同美術館は、夫妻が「原爆の図」を広く公開するため、1967年に開設した。「原爆の図」全15部のうち、長崎原爆資料館にある第15部を除く14部を所蔵する。70歳を過ぎて独学で絵を描き始めた位里の母スマの作品でも知られる。

 運営経費は年間約2500万円。年間約1千万円の入館料収入や、友の会会費、作品の貸出料、寄付などでまかなってきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で先月9日から臨時休館し、入館料収入はゼロに。学校などの団体予約はすべてキャンセルになり、作品の貸し出しや巡回展も中止や延期になった。

 老朽化した施設の改修資金を2017年から募っていたが、美術館の存続のための緊急募金も先月30日から始めた。岡村幸宣(ゆきのり)学芸員は「災害や疫病など命について考える状況が続いているが、位里・俊の作品には、命を見つめるまなざしがある」といい、「感染の終息後に見て頂きたい。次の世代に『原爆の図』のある美術館をつなぎたい」と話す。緊急募金はサイト(https://congrant.com/project/marukigallery/1587別ウインドウで開きます)で受け付けている。(千葉恵理子)