拡大する写真・図版米ニューヨーク市中心部を走る地下鉄の車内では、全員がマスクを着けていた=2020年4月30日午後6時3分、藤原学思撮影

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 眠らない街・ニューヨーク(NY)の象徴で、24時間運行を続けてきた地下鉄が6日から当面の間、午前1~5時の運行をやめる。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためで、車両の消毒などにあてるという。

 NY市の地下鉄は計472駅あり、コロナ禍以前は平日に平均で約550万人が利用していた。大半の路線は24時間運行で、米メディアによると過去10年で完全停止したのは、ハリケーンが接近した2回だけだ。

 3月22日にはNY州内全域で、原則在宅勤務が義務づけられたことなどから、乗車率は1割弱に減少。それでも、「必要不可欠」な職種として出勤が必要な医療従事者や食料品店の従業員らのために、24時間運行を続けてきた。

 一方、地下鉄の車両や改札には、ウイルスが長時間生き延びる金属やプラスチック、ガラスが使われており、感染が広がった要因の一つと指摘されてきた。地下鉄を運行する大都市交通公社(MTA)は72時間ごとに車内を消毒してきたが、乗客の安全確保のため、今後は24時間ごとに改める。運行停止中に移動する必要がある医療従事者らについては、タクシー代などを支給する方針という。

拡大する写真・図版地下鉄のホームにある電光掲示板には、鼻と口をマスクなどで覆うよう求める表示が出ていた=2020年4月30日午後6時25分、米ニューヨーク、藤原学思撮影

 今回の措置は、乗客の減少に伴い、地下鉄の車両内で過ごすホームレスが増えていることも影響している。4月30日の会見で運行停止を表明したNY州のクオモ知事は地元紙が掲載した、車内で多数の人が寝ている写真などについて「おぞましい」と表現。ホームレスの人たちの健康のためにも、対策が必要だと述べた。(ニューヨーク=藤原学思)

「ヒーロー運ぶヒーロー」

 4月30日夕、NY市中心部のグランドセントラル駅。平時なら帰宅する通勤客で混み合うはずのホームは、がらんとしていた。

 公共交通機関では顔を覆うことが義務づけられており、乗客はほぼ全員がマスク姿。黒人やヒスパニック系が圧倒的に多い。空席が目立つが、感染を警戒してか立っている客もいる。

拡大する写真・図版24時間運行をやめる、米ニューヨーク市の地下鉄。ホームにほとんど人はいなかった=2020年4月30日午後6時18分、藤原学思撮影

 「ヒーロー(英雄)を運ぶヒーロー」。駅の電光掲示板にはそんな文字とともに、地下鉄を運行する大都市交通公社(MTA)職員の黒人男性の姿が映し出されていた。

 地下鉄やバスは、米国で「ヒーロー」とたたえられる医療従事者らを、職場や自宅へと運ぶ不可欠な手段だ。だが、様々な人と接触せざるを得ない、MTAの職員らの仕事も命がけだ。計7万2千人の職員中、4月30日までに約3500人が新型コロナウイルスに感染し、96人の命が奪われた。死者のうち、94人が地下鉄やバスで働いていた。

 33年にわたり、MTAで車両…

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