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 家にこもる日々を少しでも楽しく過ごしてほしいと、三谷幸喜さんが連載「三谷幸喜のありふれた生活」の特別版として、小説「一瞬の過ち」を4回連続の予定で書いています。

 初回は、「脚本家の三谷」が、かねて殺意を抱いていた「人気俳優の大泉妙」を自作のピストルで撃ったところまで。5月14日夕刊掲載(15日朝刊の地域もあります)の次回には、いよいよ、あの「古畑任三郎」が登場します。

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 小説での「古畑復活」に、大勢の読者の皆さんからメールをいただいています。いくつかご紹介します。

○奈良県、きょんさん(57歳)

 私は、三谷幸喜さんの大大大∞ファンです。

 古畑任三郎のDVDの全シーズンを購入し、「ありふれた生活」で紹介している本を購読、三谷さんが出演する番組は必ずチェック、三谷映画は必ず映画館で観(み)ています。古畑の本が読みたいと思っていたところです。うれしい。素晴らしい企画をありがとうございます。

○埼玉県、白樺香澄さん

 1990年生まれの29歳です。母が古畑のファンで、放送日の翌日の午後に、居間でミシンを使ったり洗濯物を畳んだりしながら録画した古畑を観ているのを、一緒になって観るのを楽しみにしていた子供でした。初めて「ミステリ」というジャンルに触れたのは、間違いなく古畑だったと思います。

 古畑さんの真似(まね)をして作中のセリフをしゃべっているのを、周りの大人から「この子はきちんと敬語が使えて偉い」と勘違いして褒めてもらったのを今でも覚えています。

 「一瞬の過ち」を楽しみにし、DVDを久しぶりに観返しながら、このつらい時を乗り切りたいと思います。

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 ドラマの警部補・古畑任三郎が私たちの前に現れたのは1994年4月でした。朝日新聞の連載「三谷幸喜のありふれた生活」が始まった2000年4月には、すでに第3シリーズも終了していたので、並行して書かれたのは、スペシャルとファイナルなどの数本です。

 「ありふれた生活」で古畑が初めて話題になったのは、2003年12月「正和さんは10年来の同志」でした。翌04年のお正月にスペシャル版が放送されました。(以下、【 】内は元の原稿からの引用です)

 この回で三谷さんは、古畑について【アクション物でも人情物でもない、新しい日本の刑事ドラマを作ろうと始まった】ドラマで、「刑事コロンボ」に【追いつき追い越せが目標だった】とつづっています。

 古畑シリーズは、犯人の視点から描く「倒叙もの」。

 【倒叙ものの良さは、ミステリーでもあり、犯人の心理を描く人間ドラマでもあること。だから推理作家ではない僕にもなんとか書けたのだと思う】

 でも、こんな悩みもあったそうです。

 【日本のドラマで殺人を描く時の辛(つら)さは、殺しのバリエーションが少ないこと。ピストルはリアリティーがないし、スポンサーの関係上、車で轢(ひ)き殺すのはNG、同じ理由で毒殺も歓迎されない。密室殺人とかアリバイ工作といった、ミステリーならではの完全犯罪も描きにくい。古畑の犯人は大抵が頭が良くて社会的地位が高い。そういう人は普通、そこまで時間を掛けて誰かを殺したりはしない。リアルなドラマの世界では、凝れば凝るほど嘘(うそ)臭くなってしまう。そんなわけで、全エピソード中、半分は激情の上での撲殺だった。凶器はだいたいが大理石の灰皿】

 そして、人物造形については、次のように書いています。

 【古畑のキャラクターは、僕と田村さんの競作だ。僕が書いたホンを田村さんが現場で膨らまし、それを見て、また僕が次のホンで膨らます。田村さんとは数えるほどしかお会いしていないが、大先輩に対して失礼かも知れないけれど、僕は田村さんを、苦労を共にしてきた「同志」だと思っている】

 【「古畑」は田村正和ショーでもある。僕の仕事はドラマを通じて、いかに田村正和という稀有(けう)なスターの魅力を視聴者に伝えるかだと思っている。彼の知的な部分、ユーモアのセンス、温かみ、哀愁、そして立ち姿の良さ】

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 当時、和田誠さんが描いた田村正和さんと三谷さんの挿絵も一緒にお楽しみください。

 皆さんからのメールをお待ちしています。宛先は、mitani-furuhata@asahi.comメールする