拡大する写真・図版トイレットペーパーが売り切れ、空になったドラッグストアの棚=2020年2月28日、東京都杉並区

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 スーパーやドラッグストアでトイレットペーパー(トイレ紙)が売り切れた騒動は、新型コロナウイルスの不安によるうわさがきっかけとされる。騒動の直後に供給力も在庫も十分と安心情報が流れ、うわさはデマだとされたのに、買いだめが続いた。それは過去にもあった。そんな人々の心理状態は、あの有名な童話とそっくりだという。

 京都市山科区に住む清水暉人(てるひと)さん(77)に「悪夢」がよみがえったのは、今年2月末ごろのことだ。空になったスーパーのトイレ紙の棚やお年寄りらの長い列がテレビに映っていた。新型コロナウイルスの感染拡大で「マスクと同じ素材で作られるトイレットペーパーも品不足になる」とのうわさがきっかけとされる。「この社会には学習効果があるんやろうか」

 1973年に大阪・千里ニュータウンのスーパー「大丸ピーコック千里中央店」(当時)で起きたトイレ紙騒動。店の家庭用品係長だった清水さんが10月31日に出勤すると、約300人の行列ができていた。聞けば、トイレ紙が目当てだという。「店内を走り回られるとけが人が出る」。急きょ、1パック4個入りのトイレ紙計300パックを店の奥から入り口に移した。

 すでに周辺の店や問屋ではトイレ紙が品薄になり、清水さんの店は以前から計画していた特売の初日だった。特売品が売り切れた後に通常価格のトイレ紙を出すと、「便乗値上げ」と一部で報じられ、首都圏に飛び火した騒動の「火元」と汚名も着せられた。清水さんは公正取引委員会に呼ばれ、特売の経緯を聴かれたという。

拡大する写真・図版関西圏から首都圏に騒動が波及したことから始まったトイレットペーパーの首都圏への緊急輸送=1973年11月、静岡県富士市

 第4次中東戦争による石油危機で世界経済が混乱した年。「石油危機でトイレットペーパーがなくなる」とのデマが品薄に拍車をかけていたと、清水さんは後で知った。水洗式トイレが完備されたニュータウンの各戸では溶けやすいトイレ紙を使うしかなく、客の切迫感をさらに強めたという。

 今年のトイレ紙騒動も業界や政…

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