平塚学
当時17歳の少年が高速バスを乗っ取り、乗客3人を死傷させた「西鉄バスジャック事件」が3日で発生から20年を迎える。顔などに大けがを負い、かろうじて一命を取り留めた女性はいま、何を思うのか。
佐賀市の山口由美子さん(70)の顔には、左ほおから口にかけて大きな傷痕が残る。冬になると特に痛むが、手術をする気はない。「これが私。事件がなければいまの私はいないから」
20年前のあの日、友人の塚本達子さん(当時68)と、福岡市であるクラシックコンサートに行くためにバスに乗っていた。少年は、通路を挟んで隣に座っていた。
突然のバスジャック。牛刀で顔、頭、手など10カ所以上を切られる重傷を負った。塚本さんも切りつけられ、亡くなった。
事件直後は「なぜこんな目に」と運命を呪ったが、次第に「彼だけが悪いのではない。居場所があれば事件は起きなかった」と思うようになった。少年と、いじめが原因で不登校になった長女の姿が重なった。事件前、少年も不登校になり、高校を中退。家庭内暴力が悪化し、療養所に入院していた。
◇
佐賀家裁は2000年、少年を…
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朝日新聞社会部