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 独自の作品選びで映画文化を築いてきた全国のミニシアターが、新型コロナウイルスの打撃を受け、閉館の危機に陥っている。岡山市北区の「シネマ・クレール」からは「5月中も休館が続けば経営が持たない」と悲鳴が上がる。一方で「映画の灯を消すまい」と支援も広がっている。

 「社会が内包する問題をえぐり出すような作品をセレクトしてきた。営利より文化活動的な側面が大きい」。シネマ・クレールの支配人、浜田高夫さん(70)は開館から四半世紀あまりの歩みを振り返る。

 ガス会社のサラリーマンだった1981年。映画館で上映している作品に満足できず、借りたホールに映写機を持ち込み、自主上映を始めた。自前のスクリーンを持とうと、94年に1号館を開館。7年後、退職金で現在の劇場を新築した。

 現在は2スクリーン(計170席)で、欧州の実力作など大手では上映されない幅広い作品を流し続けてきた。収入はほぼチケット販売のみだ。

 2月以降、客足が激減。4月に入ると1人も観客がいない上映回もあったが、「閉じれば完全に収入ゼロ。従業員2人の給料も払えない」と営業を続けてきた。しかし感染拡大が止まらず、先月27日から休館を余儀なくされた。

 想田和弘監督の「精神0」、ジム・ジャームッシュ監督の「デッド・ドント・ダイ」など新作10本の上映は全て延期。売り上げ半減以上の中小企業に対する国の支援が受けられそうだが「持っても1カ月。全く足りない」。

 そんな中、映画監督らの有志が「ミニシアター・エイド基金」が立ち上げた。4月13日からクラウド・ファンディング(CF)で寄付を募り、当初の目標額の1億円を突破。ホームページには寄付者の「映画は人生の支えです」などのコメントが並ぶ。2日現在で約2億2千万円が集まった。200を超える劇場・団体に分配される。

 「映画好きの人もいまは我慢して、感染拡大を抑えよう。そうすれば、また気兼ねなく映画館に来られる日が戻る」。浜田さんはそう呼びかける。なんとか持ちこたえようと、独自のCFも検討するなどして再開への準備を進める。(中村建太)