護憲派、改憲派とも今年はネット中継 「緊急事態」論点

編集委員・北野隆一
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 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の中で迎えた憲法記念日の3日、護憲派や改憲派はいずれも大規模な集会を自粛し、識者らの講演をネットで中継した。緊急事態条項を盛り込む憲法改定の是非が論点となった。

 2015年から「平和といのちと人権を!5・3憲法集会」と銘打って数万人規模の護憲集会を開いてきたグループは東京・有明での集会を中止。国会前に約200~300人(主催者発表)が集まって憲法学者らのスピーチを中継し、約3千人が視聴した。

 中継では、「緊急事態宣言の最中に、筋違いの緊急事態条項の必要性を広言して憲法審査会の始動を狙うのは、許しがたい火事場泥棒的なしわざ。改憲発議を阻止しよう」とする宣言が読み上げられた。

 稲正樹・元国際基督教大教授(憲法)は「新型コロナウイルスの危機下で、国家には、憲法の生存権保障の規定にもとづき、私たち国民を生命侵害の危険から保護する責任がある。不要不急の憲法審査会開催強行を許してはいけない」と強調。浅倉むつ子・早稲田大名誉教授(労働法)は「今の優先課題は、最も弱い立場の人が安全に生きられる社会。危機的事態において、憲法を貫く平和主義と反暴力の考え方を世界に発信すべきだ」と訴えた。(編集委員・北野隆一

 憲法改正をめざす国民運動組織「日本会議」系の団体は3日、「憲法は国民の命と生活を守れるのか!~新型肺炎と中東危機」と題した憲法フォーラムの模様をライブ中継した。

 共催する「民間憲法臨調」「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の両団体で代表を務めるジャーナリスト櫻井よしこ氏は、新型コロナウイルスの感染拡大に対する政府の対応にふれ、「私たちの国は特殊です。各国のように、強い措置を何もとれない、権利や自由を制限できない」と問題点を指摘。「なぜ、こうなっているのかは法律をみればよく分かる。非常事態でも、総理も知事も命令する権限をもたない。それは憲法に由来している」とし、国家の土台である憲法を一日も早く改正する必要性があると訴えた。