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 新型コロナウイルスの感染拡大による休校がつづく中、県立対馬高校(長崎県対馬市)が、遠隔授業に取り組んでいる。これまで島外の大学と結んだ授業の実践を重ねてきたノウハウが、休校中の授業でもいきている格好だ。

 4月30日、生徒のいない教室で、李(イ)旻英(ミンヨン)講師がスライドを使いながら、タブレットに向かって韓国語の子音を説明していた。テレビ会議システム「Zoom」を通じて画面の向こうにいる生徒を指名し、発音をさせて確認していく。

 韓国語を本格的に学べる国際文化交流科の1年生を対象にした任意参加の授業だ。23日から、学年別に午前中3コマ、韓国語のほか5教科(国数英理社)実施している。

 県内外から「離島留学生」を受け入れる同科。臨時休校の対応は、離島ならではの難しさがある。

 3月2日、全国一斉の臨時休校要請を受けて対馬高は島外からの生徒を帰省させた。新年度、多くの県立高校は4月8日に学校を再開したが、対馬高では感染者が出た場合、島内の医療に影響が及ぶとの判断から、島外の生徒に約2週間、寮やホテルでの待機を求め、同科の生徒がそろって登校できたのは20日。開始が遅れたのに、国の緊急事態宣言を受け、22日からまた休校になった。

 休校期間が長期化する中で活用したのが、遠隔授業のノウハウだ。対馬高は文部科学省から遠隔教育システムの研究校に指定され、立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)や、韓国・釜山の釜慶(プギョン)大学校などと教室を結んだ授業の実践を積み重ねてきた。

 休校中は大学ではなく、生徒たちと教室とを結ぶ授業。担当の上村洸貴教諭は「手を挙げる機能やチャット機能を活用し、ディスカッションも採り入れ、双方向の授業を心掛けている。生徒の反応が徐々に良くなってきた」と話す。

 授業だけではない。離島留学生の保護者向けに、Zoomを介した保護者会も開いている。県が休校措置を発表した17日の夜は、約9割の保護者が参加した。事前に会議への参加方法の説明も行い、保護者から「丁寧な対応に感謝します」という言葉もあった。

 田川耕太郎校長は「Zoomの活用により、授業も情報発信も双方向でできるようになった」と振り返る。課題に挙げるのは、スマートフォンを持たない生徒、大量のデータを受信できないネット環境の家庭への対応だ。「そこをクリアできて初めて、生徒全員に教育課程に沿った授業を実施できる。これを契機に、県や国が、学習権が保障されるような通信環境を整えてくれればという思いはある」と話している。(対馬通信員・佐藤雄二)

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