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 新型コロナウイルスの感染が広がった4月中旬、フィギュアスケートの羽生結弦選手やバドミントンの桃田賢斗選手らトップアスリートがSNSで「#いまスポーツにできること」と題し、メッセージ動画を発信し始めた。その輪に加わったのが、メンバー11人のうち4人が愛知、岐阜の出身という新体操団体日本代表「フェアリージャパン」だ。

 東京五輪へ、年350日合宿生活を送っていたが、東京の練習場所は閉鎖され、4月8日に解散。自宅でのトレーニングをせまられる中、主力の竹中七海選手(21)=愛知県出身、日本女子体育大=や鈴木歩佳選手(20)=岐阜県出身、日体大=らが「普段できないことにも挑戦してパワーアップしたい」「みんなで協力して乗り越えましょう」とSNSで呼びかけた。

 昨年9月、アゼルバイジャンでの世界選手権で44年ぶりの団体銀メダルに輝き、五輪切符をつかんで迎えた今年。延期の一報に杉本早裕吏(さゆり)主将(24)=愛知県出身、トヨタ自動車=は「昨年6月に一度主将を外され、自分を見つめ直して得た五輪切符。正直、すぐ前向きにはなれなかった。すごく悩んだし、一人でいるといろいろ考えてしまった」と明かす。「これからの1年は簡単な道のりではない。五輪が本当に開催されるかはわからないし、自分が出場できるかもわからない。なので先の事ではなく、今できることをやりたいし、厳しい今だからこそ笑顔を届けられるようにしたい」と続ける。

 新体操団体は、ボールやフープ、ボーリングのピンのような形をしたクラブを5人で華麗に受け渡しながら、演技の難しさや正確さを争う。世界選手権では58・2得点を挙げ、1位ロシアに0・5点差まで迫った。届かなかった「0・5点」を求め、ボールやフープを見ずにキャッチするなどの大技を磨いている。

 延期を前向きにとらえる理由はある。中心になる松原梨恵選手(26)=岐阜県出身、東海東京フィナンシャル・ホールディングス=が1月に左足の骨を折るけが。全治2カ月とも言われた。松原選手は「『絶対、五輪に間に合わせるぞ』とは思ったけれど、メンバー選考の試合に影響が出ないか不安だった。今はけがをしっかり治し、さらにパワーアップしたい」と言う。

 再び、代表全員で元気に集まることが、外出自粛でのモチベーションというメンバーたち。「スポーツの力で世界が元気になるよう、五輪に挑戦できることに感謝し、本番で全員が自信を持ってフロアに立てるよう、練習を毎日やりきるだけ」と、松原選手は2021年に希望を託した。(土井良典)