岐阜)高齢者施設でオンライン面会広がる
新型コロナウイルスの集団感染を防ぐため、県内の多くの老人介護施設で家族との面会を制限(中止)するなか、タブレット端末などを使った「オンライン面会」を採り入れる施設が増えている。高齢の入所者を心配する家族らに声だけでなく顔色や表情も見てもらうことで、少しでも安心してもらおうという試みだ。
「おばあちゃん、久しぶりだね。元気だった。髪は伸びていない?」。4月23日、岐阜市藪田南4丁目の山内ホスピタル介護老人保健施設1階ロビーで、タブレット端末に映る母・村瀬綾子さん(88)に、長女の恵美子さん(61)が手を振りながら呼びかけた。
「いつも手紙ありがとうね。会いたかったよ。顔が見られてよかった」。2階の個室にいる綾子さんが朗らかな笑顔で応えた。
「面会」は約2カ月ぶり。恵美子さんは週2、3回、着替えを持って訪問し、近況を書いた手紙を渡していたが、2月25日に面会中止となってから母親の声を聞くことも、顔を見ることもできなかった。
この日、導入されたばかりのオンライン面会は約15分で終わった。恵美子さんは「思ったより元気そうで安心した。顔を見るとホッとしますね。オンライン面会がもっと広まると喜ばれると思う」と話した。
この施設では、ロビーと入所者の個室をつなぐ方法のほか、無料通信アプリ「LINE(ライン)」の登録者で、自宅にWi―Fiなどの接続環境が整っている場合、個人のスマートフォンでテレビ電話もできるという。真野芳宏統括部長は「家族との面会を楽しみにしている利用者は多い。その思いに応えるため、やってみることにした」と話す。
岐阜県岐南町の特別養護老人ホーム「さくらの舞」では、4月21日からテレビ電話システムを活用した面会を始めた。
2月下旬から面会中止が続き、入所者の家族から「顔を見られないので様子が心配」という不安の声が上がった。面会を楽しみにしている入所者も多く、オンラインを使って、その思いに応えることにした。
高齢の入居者は、スマートフォンなどの操作ができず、自分で家族と連絡を取り合えないという。家族からはパソコンの操作がわからないという声もあり、施設に来てもらうテレビ電話形式にした。
同施設を運営する社会福祉法人「さくらゆき」の依田充朗理事長は「リアルタイムで顔を見ることで安心につながるのではないか」と話している。(松永佳伸)

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