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 米連邦最高裁判所が4日、新型コロナウイルス対策として、230年の歴史で初めて電話会議システムを使った遠隔審理を行った。これまでは審理を生で聞くには法廷に入るしかなかったが、今回は音声の生中継も行われた。伝統と格式を重んじる最高裁の大きな一歩と受け止められている。

 「オーイエー(静粛に)、オーイエー、オーイエー」。審理はいつも通りの廷吏の呼び掛けで始まった。だが、普段はそろって入廷する9人の判事はそれぞれ遠隔で参加。弁護士らも自宅や職場から弁論した。最高裁では通常、判事は弁護士に自由に質問できるが、遠隔審理では発言者がだれか分からなくなる可能性がある。このため、この日の審理では長官が在任期間の長い順に判事を指名し、順番に質問した。

 大きな混乱はなかったが、ソニア・ソトマイヨール判事が質問を促された際、反応が遅れる場面があった。電話の無音機能を解除するのを忘れたとみられる。また、一部音声が乱れる場面もあった。

 この日扱われたのは、宿泊予約大手サイト「ブッキングドットコム」の社名が商標として認められるかどうかを争う裁判。「予約する」という意味の「ブッキング」とインターネット上のドメインで使われる「ドットコム」を組み合わせた一般的な言葉で、登録は認められないとした政府に対し、「ブランド名として確立している」とする同社が提訴。下級審では同社の主張が認められ、政府側が上告していた。

 米最高裁は、3月下旬と4月に予定されていた審理を延期。延期された案件のうち、この日の案件を含めた10件について4~13日に遠隔審理を行う予定だ。最高裁には87歳のルース・ベーダー・ギンズバーグ氏ら高齢の判事もおり、新型コロナウイルスに感染すると大変、と心配する声も上がっていた。(ニューヨーク=鵜飼啓)