[PR]

 新型コロナウイルスによる医療現場での物資不足を、「学内連携」で補う取り組みを山形大学が始めた。医学部付属病院(山形市)からの依頼に応じ、工学部(米沢市)がレーザーカッターなどの技術をいかしてフェースシールドを製作。今月末までに同病院に約1千個を提供する予定だ。

 フェースシールドは透明なフィルムで顔を覆い、医療従事者らをウイルスの飛沫(ひまつ)感染から守る器具。合成樹脂のフレームを、ゴムやひもで頭に固定する。

 製作したのは、3Dプリンターの技術開発に取り組む工学部の古川英光教授や川上勝准教授ら。医療現場でもマスクなどの物資が入手困難になっている。4月半ば、同病院から依頼を受けると、工学部内の施設でレーザーカッターや3Dプリンターを使って試作を始めた。試行錯誤を重ね、4月30日にまず約100個を提供した。

 目とシールド部分の距離を広げたり、フレーム上部を発泡スチロールで覆ったりと現場の声を反映した。1日に最大100個を作れる生産態勢も整えた。シールド部分については、米沢市発祥の大手繊維メーカー「帝人」が透明度の高いポリカーボネートを提供してくれた。

 古川教授は「病院側との連日の意見交換により、非常に速いサイクルで改良が進んだ。使う側のニーズを取り込みつつ、迅速な設計と生産を実現できた」と話す。

 病院では、手術や診察などの現場に加えて、受付の職員らの活用も考えているという。

 フェースシールドや人工呼吸器の代替品を3Dプリンターなどを使って製作する試みは全国的に見られ、設計データを「オープンソース」として、インターネット上で共有する動きが広がっている。山大も設計データをウェブ上に公開し、企業や学校などに協力を呼びかける。

 古川教授は「輸入や工場での大量生産に頼らない、新たな製造業のシステムを考えていく必要がある。コロナをきっかけに3Dプリンターなどの普及が進むかもしれない」と話す。(西田理人)