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 新型コロナウイルスの感染拡大で学校が相次いで休校する中、吹奏楽に取り組む子どもたちも苦慮する。学校で演奏ができなくても部員たちは自宅に楽器を持ち帰り、練習に励んでいる。

 「1日1回以上動画をみてイメージトレーニングをしてください」「体力づくりも欠かさず、やってください」

 4月17日夕、いわき市立植田中学校。部員30人の吹奏楽部の部長、鈴木花実さん(3年)はミーティングで2、3年生部員に矢継ぎ早に指示を出していた。

 この日の午前、市立小中学校の今月6日までの休校が決まったため、鈴木さんは部員を急きょ集めた。1年生は15人ほど入部の意思を示しているが、体験入部期間のためいない。

 ミーティングでは昨年の全日本吹奏楽コンクールで東海大付属札幌高校が演奏し、金賞に輝いた「響きの森」(作曲・福島弘和)の動画も全員でみた。難易度の高い曲だが、ラインで意見を交換し、この曲で3年ぶりの全国大会出場を目指そうと3月に決めていた。

 3月から約1カ月続いた休校、休部が終わり、練習を再開したのは4月7日。部員はこの間、楽器を持ち帰り、自主練習したが、思い切り音を出せない環境にある生徒もいた。

 そこで顧問の田中邦裕教諭が指示したのは、自分の音を取り戻すことだ。練習を1日休むと演奏の感覚を取り戻すには3日かかると言われている。

 感染防止で「密閉」「密集」「密接」を避けるため、合奏はできない。それでも「先輩が築いた伝統を引き継ぎ、頑張る」(太田さくら副部長)と意気込んだ矢先に再び休部に。

 ミーティングは休部を理由に演奏レベルを落としたくない意思の表れだった。フルート担当の太田さんは「自宅で基礎を徹底的に練習します」と話していた。

 県吹奏楽連盟が4月13日に開いた総会では「予定していた演奏会を中止した」「時間を制限して活動している」など県内各支部からコロナの影響で厳しい活動を強いられていることが相次いで報告された。

 感染防止対策を考慮した練習の注意点をまとめ、各顧問に配布した支部もあった。ただ、そもそも部の活動が「密」を前提としていることが多く、対策の決め手というわけではない。

 吹奏楽の「甲子園」と言われる全日本吹奏楽コンクールは毎年10月に開かれる。県大会は毎年7月下旬から8月上旬にあり、今年で58回目。東日本大震災があった2011年も開催している。

 連盟は県大会の開催の可否を今月上旬に判断する見通しで、無観客での開催、録音した演奏での審査なども含め検討を続けている。田母神貞子理事長は「子どもたちにとって一番良い方法を考えたい」と話す。(長屋護)