家族の介護はシニア層だけでなく、子どもや若者にも及ぶ。18歳未満の「ヤングケアラー」や主に20、30代の若いケアラーは、進学や就職など自身の人生と介護との両立に悩む。自らもその1人である30歳が「介護していることに負い目を感じず、働く道をつくる」と、若いケアラーの就職・転職支援を始めた。
記事の後半では、大学生の頃から認知症の母を介護し、就職で悩んだ経験を持つ記者が、取材を通じて考えたことを綴っています。
母の介護 高校2年から
東京都町田市の宮﨑成悟さん(30)は2月、所属する株式会社ボーダレス・ジャパン(東京都新宿区)で、主に20、30代の若者ケアラーの就職や転職を支援する事業「Yancle(ヤンクル)」を立ち上げた。
宮﨑さんの母(62)は、神経の難病「多系統萎縮症」と診断され、約12年間闘病している。宮﨑さんは高校2年の時から父、姉、弟と母を介護してきた。
高校3年の3学期、大学に合格した数日後。朝、母が目覚めず、救急搬送された。一命はとりとめたが、麻痺(まひ)が進み、気管切開をしたため、たんの吸引など、常時の介護が必要になった。
当時、宮﨑さんの父親は日中仕事で不在、2歳上の姉は大学が忙しく、弟はまだ中学生。「母は自分がみるしかない」と、その年に大学に入るのはやめた。浪人し、介護しながらもう1年勉強すればいいと考えていた。
思ったようにはいかなかった…