拡大する写真・図版対策本部会議で、今後の患者数の予測推移を掲げ、週末の外出自粛を呼びかける鈴木直道知事=2020年2月28日午後5時51分、北海道庁、戸谷明裕撮影

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 いち早く独自の「緊急事態宣言」を打ち出し、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込んだはずの北海道には、いま、感染拡大の「第2波」が襲っている。2月末からの3週間の外出自粛を解除し、日常生活に戻ろうとしたら、ふたたび感染者が増加。「第1波」を超える波が押し寄せている。米ニューヨーク市長や州知事も注目する北海道の経験とは?

独自の「緊急事態宣言」

 2月下旬、北海道には激震が走っていた。累計の感染者数が東京都を抜いて全国最多となったからだ。北海道は、人口は約530万人と東京都の4割以下、人口密度はおよそ100分の1にすぎない。にもかかわらず、全国でもっとも速いスピードで感染者が増えていた。

拡大する写真・図版北海道の日別感染確認数の推移

 前年春に初当選し、就任したばかりの鈴木直道知事(39)の動きは速かった。24日には、加藤勝信厚生労働相に自ら電話をかけ、専門家の派遣を要請し、国立感染症研究所の専門チーム3人の派遣を受けた。

 25日には、教育委員会に対し、全道一斉の休校を要請した。鈴木知事は翌日の会見で、異例の対応について、こう語った。

 「前例のない事態で国も答えを見いだすことができない。やり過ぎという批判もあるかもしれないが、政治判断は結果がすべてだ。結果責任は私自身が負う」

拡大する写真・図版緊急事態宣言を出す鈴木直道北海道知事を映す地下街の大型ビジョン=2020年2月28日午後6時58分、札幌市中央区、豊間根功智撮影

 28日の金曜日には、独自の「緊急事態宣言」を打ち出し、北海道民に対して週末の外出自粛などを求めた。この段階では、政府は新型コロナウイルスに対応する特別措置法案を検討している段階で、成立していなかった。記者会見で、鈴木知事は言い切った。「法的な根拠があるのかと言われたら、それはないです。休校の要請についても、それはそうです」

 知事の要請を受けて、デパートや観光施設などは週末、休業したり、営業時間を短縮したりした。道民は不要不急の外出を控えるようになった。この結果、新たな感染者数は抑制される傾向を示し、3月17日には、約1カ月ぶりに新たな感染者数がゼロになった。

拡大する写真・図版週末のにぎわいが見られない地下商店街=2020年2月29日午後3時19分、札幌市中央区、豊間根功智撮影

戻ったかに見えた「日常」

 知事は19日、「宣言」を解除した。3週間にわたる外出自粛により「爆発的な感染拡大や医療崩壊は回避された」という理由だった。「感染拡大防止に努めつつ、社会経済活動を続けていく新たなステージに移行しなければならない」とも語っていた。

 この当時、北海道の対応は各方面から高く評価されていた。政府の専門家会議・副座長の尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は「知事による『緊急事態宣言』を契機として道民が日常生活の行動を変容させたことは急速な感染拡大防止の観点からみて一定の効果があった」と説明した。北海道新聞の世論調査では、知事が出した独自の「緊急事態宣言」について、「大変良かった」「まあ良かった」と支持する意見が95%を占めた。さらに、海を越えた中国のSNSには、「神顔(シェンイエン)」(美男子)、「鉄腕抗疫(ティエワンカンイー)」(すご腕で疫病と戦う)など、好意的なコメントが目立った。

拡大する写真・図版体育館に入場する新入生たち。ほとんどがマスク姿=2020年4月6日午後0時47分、札幌市中央区の市立幌西小学校、豊間根功智撮影

 3月24日には、北海道は累計の感染者数で東京都に抜かれ、全国最多の座を明け渡した。3月下旬~4月初旬、北海道の新たな感染者数はゼロか1桁台に減っていた。新年度が始まり、4月6日には北海道内の小中学校で始業式や入学式が行われるなど、人々の生活は徐々に日常へと戻りつつあった。

ふたたび感染拡大

 一方、このころ、東京都や大阪府など本州の都市部では感染拡大が深刻になっていた。政府は4月7日、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県を対象に、新型コロナウイルスに対応する特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を出した。期間はゴールデンウィークが終わる5月6日までの1カ月間と設定。人と人との接触を7割から8割減らすことを目指し、外出自粛を求めた。北海道では、複数の道庁関係者が「北海道を(7都県と)一緒にされては困るよね」などと話すほど、楽観ムードが漂っていた。

拡大する写真・図版緊急事態宣言を出した後、記者会見する安倍晋三首相=2020年4月7日午後7時3分、首相官邸、岩下毅撮影

 ところが、落ち着いていたはず…

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