苦しい時こそ原点に 東海大相模・門馬敬治監督の一冊

聞き手・山下弘展
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一冊入魂「『愛情説法』走る!」(大谷徹奘著)

 著者の大谷さんは薬師寺の執事長をされており、法話で全国を回っておられます。私は、夏の神奈川大会決勝で3連敗(2006~08年、08年は北神奈川大会)して一番苦しかったとき、知人を介して実際にお会いする機会がありました。

 なかなか勝てず、悩んでいますと明かすと、「勝利だけではなく、人を大切にしなさい」と言われました。ハッとしました。一番身近な人、家族や選手を大事にしないといけないのに、1人では生きていけないのに、みんなを勝たせたいと言いながら、負けている自分が一番勝利を求めていたのではないか、と。

 本でも「『我』という名の病気」という節があります。我を通す、という言葉がありますよね。自分は間違っていない、相手が間違っている、と我が強くなると人間関係で摩擦を起こします。

 今も、この本を読み返しています。なぜ野球ができるのか。なぜ大会ができるのか。それは、相手や大会に携わる多くの方々がいるからです。1人ではキャッチボールすらできないのが野球です。他者がいることで、初めて自分と野球が存在している。苦しい時期こそ、原点を見つめ直したいです。(聞き手・山下弘展

 〈もんま・けいじ〉 1999年に東海大相模(神奈川)監督就任。春の選抜大会は2000年の第72回、11年の第83回で優勝。夏の全国選手権大会は15年の第97回で優勝。菅野智之(巨人)ら多くの教え子がプロで活躍。50歳。

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で高校球児の多くが、満足に練習できないでいる。体を動かせないときは、頭を鍛えよう。指導者たちが、魂を込めて君たちに贈る一冊。『一冊入魂』

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