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 一人で車を運転中に事故を起こして意識がなくなっても、自動でドクターヘリや救急車を呼んでくれる――。そんな救急自動通報システム「D―Call Net」の運用が、全国の消防や病院で広がっている。事故発生から治療までの時間を大幅に短縮でき、救命率を高める取り組みだ。

 千葉県内で2018年1月、軽乗用車と乗用車が正面衝突し、双方の運転手が負傷した。乗用車にシステムが搭載されており、3分後に県内の病院からドクターヘリが出動。その10分後には現場上空に到着し、胸骨骨折の重傷を負った軽乗用車の運転手が搬送され、事故後30分で医師が治療を始められた。

 仕組みはこうだ。事故でエアバッグが作動したり、センサーが一定以上の衝撃を感知したりすると、車に取り付けた自動発信装置が衝撃が加わった方向や大きさなどのデータを携帯電話回線で専用サーバーに送信。サーバーは死亡・重傷の確率を瞬時に分析し、救急時には位置情報とともに全国の消防本部とドクターヘリを備えた病院に送る。消防はこの情報をもとにコールセンターや医師と連絡を取り、救急車やヘリを出動させるかどうかを判断する。

 認定NPO法人「救急ヘリ病院ネットワーク(HEM(ヘム)―Net(ネット))」やトヨタ自動車、ホンダなどでつくる研究会が開発。15年11月から千葉、北海道など9道県で試験運用を始めた。運用は広がり、今は約730カ所の全消防本部と、ドクターヘリを備えた、愛知、大阪、福岡など44道府県の60の病院が活用している。ヘムネットが把握している通報件数は16年は36件だったが、19年は452件に増えた。

 治療開始は、どれくらい早まるのか。ヘムネットが日本航空医療学会のドクターヘリ出動実績などから算出したところ、通常は事故発生から治療開始まで平均約38分かかるのに対し、システムの実証実験では約21分だった。システム開発に携わる日本医科大学千葉北総病院救命救急センター(千葉県印西市)の本村友一医師=病院講師=は「負傷してから時間が経つほど救命や後遺症の軽減が難しくなる。死傷者を一人でも減らすために、より普及させる必要がある」と話す。

 ただ、現在搭載しているのは、…

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