新型コロナウイルスは全世界共通の脅威だが、対応策は国によって大きく異なる。国民の命を守れる国家の条件とは何か。この災厄から人類はどんな教訓を学べるのか。生物学、生態学、地理学などの知見を駆使して人類の歴史を解き明かした著書『銃・病原菌・鉄』などで知られるジャレド・ダイアモンド博士に聞いた。
――新型コロナはすでに世界中に広がっていますが、国によって感染率や死亡率には大きな差が出ています。何がこうした差をもたらしているのですか。
「単一の要因では説明ができない。少なくとも五つの理由があると考えています」
「第一に、海外からの渡航をどれぐらい制限できたか。第二に、感染者に対する隔離をどの程度行っているか。第三に、感染者の行動をたどり、感染者と接触した人々も強制的に隔離しているか。ベトナムで感染拡大が抑えられているのは、それを行っているからでしょう」
「そして第四に、人口密度が…