武士道から学ぶ自分たちにできる恩返し 渡辺元智さん

聞き手・安藤嘉浩
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一冊入魂

「日本人の誇り 『武士道』の教え」(志村史夫著)

 戦国時代のイメージから武士は戦いばかりしている印象が強いが、太平の世になった江戸時代での役割は、実は現在の警察官であり、役人であった。「武士は食わねど高ようじ」ということわざもあるが、日々鍛錬を積み、時にやせ我慢をしながら、人々のために平穏な社会を守った。

 そんな武士道の精神が、私たち日本人の倫理観を形作っていると、「日本人の誇り 『武士道』の教え」(志村史夫、ワニブックスPLUS新書)は指摘している。卑劣なことはしない。世のため人のために働く。まさに今、私たちのために頑張って下さっている医療や行政関係者の皆さんの姿と重なります。

 だからこそ、高校生にも読んで欲しい。難しい部分はサッと目を通すだけでもいい。読み飛ばしてもいい。家にいる時間が長い今がチャンスと考え、いつもは読まないような本にも挑戦してもらいたい。

 みんなはふだん野球に打ち込み、多くの人たちに応援してもらっている。新型コロナウイルスによる混乱が収束したとき、僕たちになにか恩返しできることはあるだろうか。そんなことを考えるきっかけも与えてくれると思います。(聞き手・安藤嘉浩

 〈わたなべ・もとのり〉 元・横浜(神奈川)監督。母校を率いて甲子園に春15回、夏12回出場し、1973年春、80年夏、98年春夏、2006年春と計5度優勝。松坂大輔(西武)、涌井秀章(楽天)、筒香嘉智(レイズ)ら多くの選手を育てた。75歳。

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で高校球児の多くが、満足に練習できないでいる。体を動かせないときは、頭を鍛えよう。指導者たちが、魂を込めて君たちに贈る一冊。『一冊入魂』

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