ナチズムの教訓は今①
「グーテンモーゲン」。朝のあいさつを気だるい感じで終え、高1にあたる私服の生徒らが先生の話に聴き入る。取材で訪ねたドイツ・フランクフルト近郊の州立校で、90分の授業が始まった。
テーマは「ナチズムへの抵抗の形」。このクラスの歴史の授業で年4カ月以上をあてる、ナチス政権時代の学習の一コマだ。
私がドイツ各地を2月に回ったのは、昨春にこの「現場へ!」欄で「日本とは何か」を書いた続きだった。ドイツでは人権を蹂躙(じゅうりん)したナチズムへの反省が戦後の土台をなすが、最近、中東から大量の難民を受け入れた現政権を批判する新興右翼が勢いづいている。
日本でも戦後の土台をなす憲法の改正を掲げる首相が現れ、排外的な世論も目立ってきた。「ドイツとは何か」を、この相似への対応ぶりから描こうと思ったのだ。
希望したナチズムに関する授業の参観で、その密度に驚いた。
生徒24人を六つに分けた班…