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 仕事で新型コロナウイルスに感染したと思われる場合、補償は受けられるのか。とにかく、仕事が忙しすぎる――。そんな新型コロナ関連の労働相談に応じるため、「過労死110番全国ネットワーク」が8日、電話相談会を開く。専門の弁護士は、仕事の種類を問わず、ためらわずに積極的に相談するよう呼びかけている。

拡大する写真・図版記者会見する川人博弁護士=5月1日、厚生労働省

 「仕事が原因で感染したケースは、間違いなく起きている。迅速に適正な労災認定ができるよう、サポートしたい」。ネットワークを運営する過労死弁護団全国連絡会議の幹事長で、労働災害や過労死の問題に取り組む川人博弁護士は今月1日、厚生労働省で記者会見して、そう語った。

 会社などに雇われて働く人のケガや病気が、仕事や通勤によるものとして労災と認められれば、治療費は労災保険から全額支給される。仕事を休まなければいけない場合、一定期間の平均賃金の8割が原則補償される。

 ただ、ウイルス感染が労災と認められるためには、これまでは労働基準監督署が感染経路を特定できるかどうかが重要なポイントになってきた。新型コロナの場合、感染しても症状が出ないことがあるため、感染経路が特定しづらいことが労災認定の妨げになると懸念されてきた。

 そこで厚労省は4月28日、労災認定を担当する各地の労働局に対し、スーパーマーケットの店員など不特定多数と接する仕事の人が新型コロナに感染した場合は、具体的な感染経路が分からなくても、仕事が原因とみられれば労災と認定する、という考え方を伝えた。

 日常的に多くの客と近くで接する仕事の場合や、すでに職場で2人以上の感染者(施設利用者などを含む)が出ている場合などは、感染経路がわからなくても、感染リスクの高さを労災認定の際に重視するとしている。厚労省によると、不特定多数の客などと近くで接する機会が多い仕事の例としては、スーパーのレジ担当▽保育士▽バスやタクシーの運転手――などが挙げられるとしているが、これらの職業に限らないという。

拡大する写真・図版厚生労働省が入る東京・霞が関の合同庁舎=4月

 一方で、厚労省は「最終的に労災と認められるかどうかは個別判断」としている。潜伏期間や仕事の状況、プライベートで感染した可能性などを、案件ごとに労働基準監督署が調べるためだ。そのため川人弁護士は「一つ一つ細かいチェックが入るので、本当に認定されるのか運用面は注視しないといけない」と話した。

 また川人弁護士は、ナイトクラブやライブハウスなど、「3密」(密閉・密集・密接)状態とされた職場で働く人が仕事で感染しても、社会的な批判をおそれて「労災申請をためらう心配がある」と指摘。「経営者の指示で出勤して、生活のために働いて感染してしまったのなら、労働者の権利を主張してほしい」と相談を促している。

 感染以外にも、医療や介護、スーパーなどの業界では、感染拡大の影響で長時間労働を強いられたり、過度なストレスで体調を崩したりするおそれがあるといい、すでに川人弁護士のもとには「病院幹部が突然死した」などの新型コロナに関連すると思われる相談が約10件寄せられているという。

 電話相談は8日午前10時~午後3時。東京(0120・111・732)など約20都道府県で弁護士や医師らが受け付ける(一部地域は9日)。詳しくは過労死110番全国ネットワークのホームページ(https://karoshi.jp/別ウインドウで開きます)で。ホームページのメールフォームでも相談できる。(滝沢卓)