第4回歴史教科書通じて隣国と対話 排外主義高まる今こそ
ナチズムの教訓は今⑤
戦後75年、排外的な言説が目立つようになった日本と似る「ドイツとは何か」を探る取材で、北部ブラウンシュバイクにある国際教科書研究所を2月に訪れた。
前身の組織を1951年に作ったゲオルク・エッカートは、ナチスに加わった社会の教師だった。反省から戦後、欧州各国の歴史教科書になお色濃い自国を正当化する記述を危ぶみ、ドイツとの二国間を中心に対話を促し続けた。
遺影が壁にかかる部屋で、所長のエッカート・フクス(58)に会った。日本でも議論が尽きない歴史教科書のあり方から聞いた。
フクスは「近代国家の建設過程はアイデンティティーに関わり、教科書に書かれるのは自然だ。ただ、自国の歴史観にこだわる物語と区別する必要がある」と言う。
そして触れたのが研究所の業績として知られる、ドイツと戦った隣国との共通教科書だ。同じ事件でも見方や表現が異なる争点で両国の学者が議論を重ね、共通の記述にたどりつき、フランスとの出版は2006年、ポーランドとは今年の完結までこぎつけた。
「共通教科書で重要なのは…