【動画】「緊急事態宣言」から1カ月。コロナウイルスの感染拡大に手探りの対応が続いている。舞台裏を追った。
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新型コロナウィルスの感染拡大で社会は大きく変わろうとしている。「緊急事態宣言」から1カ月。手探りの対応が続く舞台裏を追った3回シリーズ「混迷の1カ月」の初回。

拡大する写真・図版コロナの時代 混迷の1カ月/デザイン・加藤啓太郎

軒並みシャッター、消えた人影

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が延長された7日の東京・新宿。超高層ビルが立ち並び、百貨店やネオン街が人々を引きつけてきた街には、まるで別の場所のような静けさが漂っていた。

 商業施設は軒並みシャッターを下ろし、多くの飲食店の店先には「臨時休業」の紙が貼られたまま。この日から営業を再開する動きも一部でみられたが、「6日まで」という休業期間を示す文字の上に赤線を引き、「収束するまで」と書く店もあった。

 路地裏には、空き缶やごみが重なっていた。地元の人によると、東京都の要請に応じて多くの飲食店が休業し、店周辺を掃除する人も減ったためという。「ずっと休んでいるのが不安になった」と、この日から居酒屋を再開することにした佐藤豊さん(52)はこうこぼした。「いつも輝いていた新宿が、よどんでいるように見えるね」

 NTTドコモのデータによると、6日の新宿駅周辺の人出は昨年の大型連休と比べて8割減。大阪・梅田や福岡・天神といった国内有数の繁華街も8~9割ほど減り、にぎわいが戻る見通しは、いまも見えない。

拡大する写真・図版店舗の看板に明かりがついた歌舞伎町一番街。臨時休業を続ける店、再開する店、テイクアウトの営業を始めた店など、自粛要請への対応は様々=2020年5月7日午後5時、東京都新宿区、伊藤進之介撮影

 「まだ、この状況が続くんですね……」

 特別措置法に基づく初めての緊急事態宣言が4月7日に出されてから1カ月。都内の派遣会社に所属する川崎市の女性(60)は連休が明けても仕事がなく、自宅アパートで一人、不安で胸が押し潰されそうな日々を過ごしている。

 家庭用品のメーカーから業務委託を受け、全国に出張して製品の展示会やショールームの運営にあたってきた。月収の平均は13万円ほど。しかし2月末、メーカーが入るビルで新型コロナの感染者が確認された。出張は禁止され、展示会もキャンセルが相次いだ。3月の収入は2万円。4月はゼロになった。

 今後について派遣会社からは、「自力で切り抜けてほしい」と言われるだけだった。メーカーの担当者からは「5月から出社してもらって、また考えましょう」と説明されていたが、宣言が延長されたことで、5月中に仕事が入る見込みもなくなった。

 家賃6万円と食費、光熱費……。4月は8万円ほどでやりくりした。それでも8千円だけ、友人から借りた。4月7日、「減収世帯への30万円給付」という支援策が閣議決定され、期待をつないだが、ラジオから流れるニュースで「国民に一律10万円給付」と変更されたことを知った。一人暮らしの女性の手から、もらえると思った20万円がすり抜けていった。10万円すら、いつ手元に届くかは分からない。

 宣言の延長は「感染の拡大を止めるため」と理解しているつもりだ。それでも、やるせなさが募る。「政府は給付や融資の対応を『すぐにやる』と言うけれど、約束がころころ変わる。少しの遅れが、こちらには命取りなんです」

沈んだアベノミクス 悩み続けた首相

 緊急事態宣言を決断した安倍晋三首相はこの間、揺れ続けてきた。

 「やむをえない。これから先の…

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