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 新型コロナウイルスの治療薬として国内で初めて、抗ウイルス薬「レムデシビル」が7日、特例承認された。米国では1日、重症の入院患者を対象に緊急時の使用が許可された。どんな薬なのか。

 1月末、米国で初めて新型コロナウイルスの感染が確認された西海岸ワシントン州の男性は、レムデシビルの投与を受け、回復した。

 中国・武漢から1月15日に帰国した男性は、発熱やせき、全身の倦怠(けんたい)感などで入院。すぐに肺炎を発症した。治療にあたったプロビデンス地域医療センターのジョージ・ディアズ医師は、米疾病対策センター(CDC)からレムデシビルの使用を提案されたという。エボラ出血熱治療の臨床試験で安全性が確認されていたこと、新型コロナウイルスの動物実験で肺のウイルスを減らすデータが公開され始めていたことが決め手となった。

 すぐに投与すると、39度以上あった発熱は、24時間で37度程度に下がり、血中酸素濃度も回復。息切れもしなくなったという。最初の投与から5日以内には退院できるまでになった。

 2月半ばから地域で集団感染が起きたため、ディアス氏は多くの患者にレムデシビルを投与してきた。「通常の治療と比べ、レムデシビルは致死率を下げる効果もありそうだ。まだ初期段階の結果だが、将来は有望だと思う」と話す。

 一方、副作用として、吐き気が見られ、腎機能が低下している患者には投与できないという制約もあるという。「レムデシビルは100%患者に効くものではないが、ウイルスを阻害する効果はある。ワクチンが開発されるまでの間に、治療法を見つけることが大切で、レムデシビルはその一つだ」と話す。一方、むやみに使いすぎると、インフルエンザのように抗ウイルス薬に耐性をもつ可能性もあると指摘。「薬は賢く使っていく必要がある。『治療法があるから、何をしてもいい』というのではない。現時点で人との距離を保つことは最も効果的な方法だ」と話した。(ワシントン=香取啓介)