第1回「俺は嫌われてもいい」 荒療治に乗り出した日本製鉄

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江口英佑
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【連載】厳冬期の鉄鋼①

 鉄鋼国内最大手の日本(にっぽん)製鉄は2月7日、呉製鉄所(広島県呉市)の3年後の閉鎖を柱とする大規模な合理化策を発表した。前身の旧新日本製鉄が発足した1970年以降、日鉄が国内の製鉄所の全面閉鎖を打ち出すのは初めてだった。和歌山製鉄所(和歌山市など)の高炉1基を止めるなど全国各地の生産設備の休止も発表。橋などの建築物に使う厚板、自動車などに使われる薄板、ステンレスなど幅広い事業の生産設備の集約を打ち出した。グループ全体の粗鋼生産能力の1割、500万トンを削減する荒療治に、製鉄所の地元や協力企業に衝撃が広がった。

 「過去に例を見ない状況に直面している」「当社の生産能力は将来を見据えた時に大き過ぎる」。経営企画担当の右田彰雄副社長はこの日の記

者会見で、苦渋の決断の理由をそう説明した。

 会見では、主力拠点である鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市、4月から東日本製鉄所鹿島地区)や名古屋製鉄所(愛知県東海市)が継続的に赤字を計上していることまで明らかにされた。同業他社の社員が「こんなことまでしゃべっちゃった」と驚くほどの内容だった。

 予兆はあった。昨年11月…

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