[PR]

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた休業要請は7日解除されたが、離島への訪問や、県境を越える行き来の自粛要請は続いている。離島の各自治体は「外需」が見込めない中で対策に知恵を絞るが、先行きを見通せない事業者の不安は大きい。人の往来が抑制される中、長崎空港(大村市)でも多くの店が閉まったままだ。

 年間のべ約40万人弱の観光客が訪れる壱岐市。島内では4月5日の6人目を最後に感染は確認されていないが、市によると全国的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光客のキャンセルは3月末時点で1万1千人、宿泊業者の減収の試算は9千万円に上る。

 国が緊急事態宣言の対象を全国に広げた4月中旬、県は「医療体制が十分ではない」などとして、離島地域への訪問自粛を要請。宣言の延長後も継続した。

 九州郵船のジェットフォイルは、4月の運賃収入が博多~壱岐~対馬航路が対前年比6割減に。同社は5月7~30日の期間、1日1往復への減便を決めた。

 こうした中、白川博一市長が打ち出した方針は「島内で経済を回す」ことだ。

 市は7日から、2週間島外に出ていないことや発熱がないことを条件に、市民が島内で1泊2食のプランを利用する際の料金を半額補助するキャンペーンをスタート。島内21軒のホテルや旅館が参加し、すでに予約が入っているという。

 ほかにも、市内で使えるプレミアム商品券や貸し切りバスツアーを用意。市観光課の担当者は「施策の相乗効果で、少しでも事業者の安心につなげたい」。

 五島市も、宿泊業や飲食業、海上タクシーなど観光に携わる中小企業や個人事業主に上限30万円の支援金を給付する制度を独自に用意。11日から申請を受け付ける。費用捻出のため、市長ら三役の5~8月分の給与を20%削減した。

 市商工会は4月から、土産物店で使えるクーポン券を市民向けに発売。3千円分のクーポン券を2千円で購入でき、用意した500枚は完売した。5月18日には土産物、生花、クリーニング各店で使える第2弾のクーポン券を準備中だ。

 ただ商工会の久保健一事務局長は嘆く。「長期間、観光客の受け入れができない状況は本当に厳しい」

 対馬市は、長引く観光客減に苦しむ。日韓関係悪化で、昨年の韓国人観光客数は前年比約36%減。そこに新型コロナが起きた。市観光商工課の担当者は「ようやく韓国の件が落ち着くと思っていたところで、第2波が来た」。コロナによる観光への影響は分析中だが、観光に携わる事業者の金融機関への借り入れの相談が相次いでいるという。

 市は11日から独自に、収入が減った市内の飲食店や宿泊事業者などに給付する緊急支援補助金を始める。6月までの3カ月間で接客のために使ったマスクや消毒の経費も補助する。

 ただ、壱岐市のように島内の経済活動を活発化させることには慎重だ。担当者は「島は高齢者も多く、医療体制も十分ではない。島内で感染者が出ないと確証が持てない段階で、活動を喚起しにくい」と話した。(榎本瑞希、弓長理佳、小川直樹)

     ◇

 長崎空港(長崎県大村市)の利用者は大幅に減っている。閑散ぶりは、施設を管理する長崎空港ビルディングの広報担当者が「入社して20年で初めて」と驚くほどだ。空港内では、4月上旬から休業する売店・飲食店が出始め、大型連休前からは7割が休業している。ほとんどの店が期限は「当面の間」だ。

 市内の大村公園内で料亭を営む「梅ケ枝」は、空港の売店に郷土料理の大村ずしを1日50~60個卸していたが、3月中旬から売り上げが落ち始め、4月中旬から卸すのを止めた。空港での売り上げは例年に比べ、3月は約6割、4月は1割未満だったという。

 この春、東京や大阪、横浜、名古屋などで有名百貨店の物産展に出店予定だったが、軒並み中止に。花見の時期には埋まっていた料亭の予約もほとんどキャンセルされた。佐藤和也社長(46)は「料亭がダメ、空港がダメ、デパートがダメ。全滅で逃げ場がない」。

 大村公園のハナショウブが見頃を迎える5月下旬~6月中旬、例年なら県外からの多くのバスツアー客が料亭を訪れるが、今年は諦めている。1年で書き入れ時は3~6月。「銀行は貸すと言ってくれるが、返せるめどが立たないとなかなか。6月がダメなら、会社としてやばいなという感じ」(中川壮)