三重)模索のテイクアウトを支援 あの味を残したい
新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に陥っている飲食店。新たにテイクアウトやデリバリーを導入する店舗が増えているが、初めての取り組みに店主たちは四苦八苦している。一方で、そうしたまちの飲食店を支援する動きも広がっている。
津市久居北口町のメキシコ料理店「チャベリータ」。4月上旬に初めてテイクアウトを導入したが、手探り状態が続いている。料理が冷めても味の質が落ちないよう工夫。それでも、売り上げは約7割減と伸び悩んでいる。
県内では、大型連休明けから飲食店の通常営業が可能になったが、当面の間はテイクアウトのみで営業を続ける予定だ。店主の西尾洋樹さん(47)は「感染が心配で、すぐには元に戻れない。気兼ねなく、店内でも飲食できるようになってほしい」と話す。
一方、イベントなどにキッチンカーで出店して収入を得ていた津市一志町井生の「CEDAR WORKS」代表の後藤卓也さん(39)は、8月まで約40件の予定が全てキャンセルになった。
夏ごろに店舗を構える予定だったが、収入確保のため、大幅に早めて4月4日にオープンした。内装を整える時間がなく、現在はテイクアウトのみの営業。「国や県の支援の対象にもならないから、当分厳しい状況は続きそう」と嘆く。
こうした苦しい状況の飲食店を無償で支援しようとする動きも出てきた。
津市久居西鷹跡町のデザイナー田中克昌さん(42)は、新たにテイクアウトやデリバリーを始めた飲食店向けに、店のポスターを制作。ホームページ(https://tosca-kitchen.com/index.html)で無料公開し、誰でもダウンロードできる。
「食卓のお手伝い」「お持ち帰り始めました」。通行人にも目立つよう赤色をベースに、わかりやすさを重視。店側が容器代を節約できるよう自宅の保存容器でテイクアウトできることを記したデザインなど、全4種類を用意した。
県内外の飲食店経営者からも問い合わせが相次いでおり、「地域の飲食店がまちから消えるのは悲しい。収束後も地域の憩いの場として残していくために少しでも役立てば」と話す。
津市久居野村町でウェブ製作会社を経営する藤原康さん(42)は、テイクアウトメニューを提供する飲食店をまとめて掲載するポータルサイト「ローカルキッチン」を立ち上げた。
店舗ごとのページの登録は無料で、現在は約20店舗を掲載。店舗情報やテイクアウトのメニューを紹介している。サイトを訪れた人は、その場で予約でき、店舗を応援するためにSNSなどでページをシェアできる仕組みになっている。
藤原さんは「直接お客と店がつながるための入り口になれば」と話す。掲載などの問い合わせは「ローカルキッチン」(https://local-kitchen.jp/mie/tsu/)で確認できる。(大滝哲彰)

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