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 福岡県柳川市では11日から、新型コロナウイルスの影響で業務がほとんどなくなった小中学校の給食調理員が、1人10万円の特別給付金の処理業務に入る。市町村が、一時的とはいえ現業の専門職を一般事務に配置転換するのは異例で、背景にはコロナ禍がもたらす官民格差に対する市の配慮があった模様だ。

 小中学校の臨時休校は既に2カ月余り。この間、給食調理員は設備の消毒、清掃から給食センターの草刈りまで「業務としてやれることはやり尽くした」(市幹部)状況で、現在はいわば開店休業状態だ。

 だが、正規・非正規雇用合わせて約28人の調理員は市職員として法律で身分保障され、業務がないことを理由にした解雇や給与カットは許されない。雇用契約で業務は給食調理に限定され、本人の同意なしに配置転換もできない。コロナ禍による企業活動の自粛で雇い止めや賃金カットが広がる民間とは大きな差があり、市役所内には市民感情を心配する声があった。

 一方で、特別給付金の通知は、7日に市内約2万6千のほぼ全世帯に届けられたとみられ、同日には市役所に直接、申請書類を持参する市民が相次いだ。11日からは郵送による申請が殺到するとみられ、担当職員4人では処理が追いつかない状況だ。4月下旬の段階で、こうした状況を見越した市は、給食調理員や市立図書館司書らに5月末までの間、給付金事務へのシフトを呼びかけた。すると、調理員13人、司書3人が快く応じてくれたという。

 11日からはまず、非正規雇用の調理員6人が郵送による給付金申請書類の受付やパソコン入力を担当。司書は図書館再開が早まる可能性が出て外れたが、今後、正規雇用も含めた他の専門職の一時配置転換を増やすことも検討するという。

 金子健次市長は「一日も早く市民に給付金を届けるため、快く協力に応じてくれた給食調理員の方々に感謝したい」と話している。(森川愛彦)

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