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 新型コロナウイルスに感染し、自宅やホテルで療養する人が増えている。こうした療養生活では、「エコノミークラス症候群」(静脈血栓症・肺塞栓(そくせん)症)になるリスクがあるとして、専門家が過ごし方に注意するよう呼びかけている。

 エコノミー症候群は、足の静脈に血栓(血の塊)ができて肺の血管に飛び、急に息ができなくなってしまう病気だ。重い場合は命に関わる。

 被災地などでこの問題に取り組んできた新潟大学大学院の榛沢(はんざわ)和彦特任教授(血管外科)は、自宅やホテルでの療養は災害時の避難所生活と同じで、「血栓ができやすい状況にある」と指摘する。療養中は、▽特殊環境下に置かれストレスを感じる▽水分や食事が十分に取れない▽運動不足になる――など、同様の状況になりやすいためだという。

 東日本大震災後の宮城県南三陸町の避難所では、災害が起きてから1週間ほどで検査を希望した被災者の42・1%に血栓が見つかったという。一般の人の約4%よりも高かった。

 榛沢さんが、感染者が特に注意するべき症状として挙げるのは脱水だ。発熱で汗をかくため、体から水分が抜けやすい。ホテルなどでは食事がおにぎりや弁当になることが多く、食べ物から摂取できる水分が減る傾向がある。コーヒーや紅茶などの嗜好(しこう)品も自由に飲みにくいと、さらに摂取量が減ってしまうという。年齢に関わりなく、唇や舌が乾燥したら脱水の兆候があるといい、「適度な水分補給をしてほしい」と話す。

 感染していない人も注意が必要だ。日本静脈学会は、在宅勤務で長時間同じ姿勢で座り続けていると同様のリスクがあると呼びかける。

 予防法として▽ラジオ体操などの軽い運動▽在宅勤務では2時間に1回以上立って軽い運動▽長時間座ったままテレビやビデオを見ず、時々軽い運動▽すわっている時も足首を曲げ伸ばしして上下に動かす▽長時間自動車のシートに座った姿勢で眠らない▽ふくらはぎのマッサージをする、などがある。

 特に注意が必要なのは、エコノミークラス症候群になったことがある人や最近手術を受けた人、肥満、妊娠中、高齢、経口避妊薬を飲んでいる人ら。足のむくみが出たり、ふくらはぎが赤黒く変色したりした場合、早めに医療機関に相談することをすすめている。(杉山歩、瀬川茂子