[PR]

 福井県内最大の歓楽街、福井市中心部の「片町」を新型コロナウイルス禍が直撃している。スナックやバーなど休業要請対象の遊興施設だけでなく、営業を続ける居酒屋などからも客足は遠のいた。県による休業要請は20日まで、居酒屋や飲食店への時短営業要請は10日までだが、店主らは「その後も客はすぐには戻らないだろう」とにぎわいの回復を見通せないでいる。(堀川敬部、佐藤孝之)

ネオン消え 休業の貼り紙

 約450の遊興施設や飲食店などが集まる片町。8日夜、一帯を歩いた。本来ならにぎわうはずの「花金」だが、店のネオンはほとんど消えたまま。人影はまばらだ。「感染予防のため休業します」と貼り紙をした店が目立つ。

 「3月に片町の店から感染者が出たという話が広がり、徐々に客が減った」。そう話す「季節料理 磯」を営む堂阪徹雄さん(71)は、4月6日から休業を続ける。大家と交渉し、家賃は半額にしてもらったという。片町で半世紀近く働いてきたが「こんなことは初めて。店を再開できても、すぐにお客さんは戻らないだろう」と顔を曇らせた。

 夜はショットバー、昼はカレーを提供する「Yダッシュ」は3月末にバーの営業を休止した。3月の送別会の予約が全てキャンセルになり、客も1日1~2人に激減したためだ。オーナーの枝中誉志雄さん(47)は少しでも収入を確保するため、週4日のカレーの提供を毎日にし、無休で働く。「それでも売り上げは9割以上落ちた。県から協力金をもらえても、家賃の足しになるぐらいです」

 時短営業を求められている居酒屋も苦戦する。午前3時まで営業していたある店は、昼の弁当と夕方の「おつまみセット」のテイクアウトに切り替えた。3月下旬から客がピタッと来なくなり、苦肉の策だ。店主の男性(49)は「5月はこれで乗り切りたい」。

 時短営業の協力要請に応じていない店もある。従来通り夕方から翌朝まで営業する焼き鳥店の男性店主(71)は「協力金は家賃にもならない。夜の食事の店を探す出張客も多いので役に立ちたい」。売り上げは約8割減っているという。

 テーブルやドアノブを頻繁にアルコール消毒するなど、感染防止には気をつけている。「自分も年を取っているので感染したらアウトだからね」

再び感染者出るのが心配

 休業などの要請対象でない店からも悲鳴が上がる。「売り上げは90%以上減った」と酒屋の店長は嘆く。「顧客のスナックやラウンジは全く営業していないし、居酒屋も時短営業でお酒はほとんど出さなくなった」。店を畳むしかないと話す飲食店もあるという。

 いま一番心配なのは、制限の緩和後、片町に関係した人からまた感染者が出ることだという。「みんな怖がって本当に片町に人が戻って来なくなる。休業要請期間を延長するにせよ短くするにせよ、まずPCR検査などを尽くしてほしい」

 約70年続く理容室「とらお」の2代目、虎尾吉暁さん(70)は「やることがなくて、壁にペンキを塗ったよ」と苦笑する。「こんなに客が来ないのは初めて。今は片町に近づきたくないという人も多いのだろう」

 ビルのオーナーでもあり、入居する美容室の賃料は値引きした。周囲のビルでも、スナックなどの賃料を値引きしたという話を耳にする。「片町は住んでいる人が温かいから、好きなんだ。しばらく飲みに行けていないけどね」

 片町商店街振興組合の横山正理事長は「片町がこれほど厳しい状況になるとは思っていなかった。もちこたえられない店もあるだろうし、経済的な打撃で心を病む人もいるかもしれない。『家飲み』になれた人たちがコロナの終息後、足を運んでくれるか心配だが、何とか秋ごろまでには以前のにぎわいに戻ってほしい」と話している。

関連ニュース