体、動かせてる?休校中の運動、大久保選手のおすすめは

聞き手・勝見壮史 聞き手・伊木緑 斉藤寛子
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 新緑あふれる季節に、家の中で過ごす生活が多くの地域で続いています。特に学校の休校で生活が一変した子どもたち。制限された環境で、十分に体を動かせているのでしょうか。朝日小学生新聞と合同で子どもたち自身に様子を聞いてみました。いろいろな工夫や大人に聞きたいことを、アドバイスとともにご紹介します。

ラジオ体操でシャキッ サッカー元日本代表 大久保嘉人選手

 サッカーの元日本代表で、J1リーグ歴代最多の185得点を誇る大久保嘉人選手(37)は、子煩悩な父親としても知られています。休校中で、外出もままならない子どもたちとの過ごし方を聞きました。

 ダラダラしてしまう子どもたち。どうしたら、学校がある時と同じリズムの生活ができるか。思いついたのが、朝のラジオ体操でした。

 朝8時前、中学3年、小学5年、小学3年、3歳の息子4人に妻も加えた家族全員で庭へ。ユーチューブから音楽を流しました。小学校以来の懐かしさを感じながら手足を動かしたら、頭がシャキッとした。これはいいなと、4月中旬からほぼ毎日やっています。真剣にやると、汗もかきますよ。

 体を動かして、汗をかく。その大切さを改めて感じています。プロサッカー選手として毎日練習していたことで、日々の生活で感じるストレスを発散できていたんだ、と。

 今、所属する東京ヴェルディは活動休止中。トレーナーからもらったメニューで自主練習をしていますが、子どもたちにもやらせています。「一緒に行くぞ!」って。自宅近くを4.2キロ走ったり、庭で筋力トレーニングしたりしています。

 下の子たちは脱落していくけど、長男は最後までやりますね。本気で勝負するんだけど、ランニングで長男に負けたこともあった。悔しいから、次は負けないぞと頑張れる。親子で競争しても、面白いですよ。

 親があんまり運動しない人なら、子どもから誘ったっていい。親もうれしいでしょうしね。まずは、誰でもできるラジオ体操、お勧めです。(聞き手・勝見壮史)

コマや剣玉、リズム良く 東京学芸大准教授 佐藤善人さん

 子どもが思いきり運動できない現状にどう向き合うべきか――。今年、災害後に子どもたちのストレスを軽減するための体育授業の運動遊びプログラムをまとめた東京学芸大の佐藤善人准教授(体育科教育学)に聞きました。

 いまの一時的な運動不足による体力低下は、元の生活に戻れば挽回(ばんかい)できるでしょう。ただ心配なのは、友達と一緒に遊んで楽しかったり、時にはけんかしたり、本来ならこの数カ月間でできたはずの体験の機会を失っていることです。子ども自身は運動不足やストレスを自覚していなくても、知らず知らずのうちに蓄積しています。

 だから、保護者の方は「いつも以上に褒めてあげて」。ポジティブなメッセージを与えることで「受け入れられている」という自信を生み、自分で運動しようという気持ちがわくのです。また、子どもが運動を通じて前向きな気持ちを得たりストレスを軽減したりするために大事なのは「遊びの要素」です。運動不足だからといってただ走らせたり筋トレをさせたりするのは本末転倒。いかに楽しく遊ばせるか、工夫してみましょう。

 子どもたちには、「楽しいことを見つけて」と言いたいですね。たとえば、家でできるコマ回しや剣玉。「体をリズミカルに巧みに動かす」という幼い頃に身につきやすい能力を獲得するのに適しています。テレビやインターネットの動画にも体操の番組があり、お気に入りのものが見つかるかもしれません。大人と一緒にウォーキングやジョギングに出かけ、お寺や神社巡りをしてみるのもおすすめです。(聞き手・伊木緑

屋内外で、できることは

 小学生から寄せられた質問について、大久保嘉人選手と佐藤善人先生、スポーツ庁に聞いてみました。

 Q 部屋の中でできる運動を教えて(東京・5年)

 大久保選手=やっぱり、筋力トレーニングかな。あとは動画を見ながらのエアロビクスとか。サッカーやっている子なら、本物のボールを蹴ってたら親に怒られちゃうから、小さい柔らかいボールでやる。

 Q 走る前はどんなストレッチをしたらいい? クールダウンも教えて(東京・4年)

 大久保選手=アキレス腱(けん)を伸ばしたり、ひざをくるくる回したりぐらいでいいかな。俺はほとんどしないよ。クールダウンは、走り終わったら1、2分歩く。それで大丈夫。

 Q 勉強中など、座っていてもできる筋トレを教えて(埼玉・6年)

 大久保選手=勉強するときは、勉強すればいい。一つのことに集中することも大事。二つのことは、同時にうまくできないから。どうしてもやりたいなら、空気イス!(イスに座っているように、ひざを曲げて耐える)

 Q お友達と約2メートル間をあけてできる面白い遊びを教えて(神奈川・6年)

 佐藤先生=鬼ごっこをタッチではなく影ふみにすれば、色鬼、高鬼、氷鬼など、ほとんどの鬼ごっこはできます。「缶けり」は元々のルールでできますね。ジャンケンで勝ったら指の数だけ進む「グリコ」も大丈夫。縄跳びだって、教え合えば友達と遊べますよ。知ってる遊びやインターネットで調べた遊びをアレンジして、工夫して楽しみましょう。

 例えば日本スポーツ協会のアクティブ・チャイルド・プログラム総合サイトにも様々な遊びが紹介されています。https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/acp/hogosyakodomo.html別ウインドウで開きます

 Q 「3密」でなければ外に出てもいいのか知りたい(東京・4年)/公園の遊具で遊んでいいのか(埼玉・5年)

 スポーツ庁健康スポーツ課=「3密(密閉・密集・密接)」の条件がそろわないところでなら外で遊んでも大丈夫です。ただ、遊具は不特定多数の方が触れるので感染の心配があります。家に帰ったらしっかり手を洗い、こまめに消毒しましょう。

ダンスで足が速くなる?

 学校が始まったとき、足が速くなっているかも?! そんな目標を持って、家で踊ってみましょう。楽しく踊りながら、速く走るためのトレーニングができる「足が速くなるダンス」の動画があります。

 速く走るためには、「足の回転数を上げる」「歩幅を広げる」「安定した姿勢を保つ」の三つの要素が重要です。このダンスは、テンポの良い「カルメン」でリズムをとりながら、足を大きく広げたり、太ももを高く上げたりする振り付けで、速く走るための要素を身につけられます。

 ダンスを考案したのは、公益社団法人「日本ストリートダンススタジオ協会」の代表理事の吉田健一さん(42)と、名古屋学院大の准教授で、ダンサーでもある佐藤菜穂子さん(37)。ダンスの授業は苦手と思っている子どもたちも、「足が速くなる」と目標があれば積極的に挑戦しやすくなるのでは、と考えたそうです。

 対象は小学校高学年に設定し、約2分間。6年生が1カ月間続けたところ、50メートル走の記録が平均0・17秒、最大で2・6秒縮まったといいます。佐藤さんは「リズムをとり、小刻みにジャンプをすることでアキレス腱(けん)が強くなります。効果を出すには1日10回程度、繰り返し踊って下さい」。

 ダンス動画は、損害保険ジャパン東京都新宿区)が特設する「SOMPOダンスプロジェクト」(https://www.sompo-japan.co.jp/company/dance/別ウインドウで開きます)で公開。動きが一つずつ学べる解説動画もあります。吉田さんは、「ダンスは両手が広げられる程度の狭い場所でできる有酸素運動です。学校が始まったら友だちとみんなで踊れることを楽しみに、今は家族と自宅で練習してほしい」と話しています。(斉藤寛子)

「足が速くなるダンス」動画はこちらに

https://www.youtube.com/watch?v=QFicBOx2cEU別ウインドウで開きます

練習用動画などはこちらに

https://www.sompo-japan.co.jp/company/dance/別ウインドウで開きます

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