第8回お家芸レスリングに世界の壁 「メダル10個」へ再始動

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金子智彦

新型コロナウイルスの影響で延期になった東京オリンピック。突如できた1年の時間は、アスリートたちにどう影響するのか。担当記者が探ります。

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 五輪でメダルを量産し続け、「お家芸」の地位を確立したレスリング女子だが、その足元はぐらついている。「一日一日準備するだけ。よりスケジュール感を持って頑張っていく」。来夏に持ち越しとなった五輪2連覇へ、女子の主将で57キロ級の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)は気持ちの切り替えを強調した。

 日本協会は東京五輪の男女18階級で「金を含むメダル10個」をめざす。特に女子は五輪に初採用された2004年アテネ大会以来、金メダルを獲得し続けており、東京でも金3個が必達目標になっている。

 五輪3連覇の吉田沙保里や4連覇の伊調馨らが一時代を築き上げたが、世代交代が進む中、元々の身体能力に加えて防御技術を高めてきた海外勢の躍進はめざましく、タックル重視の日本の存在感は低下した。18年に発覚した栄和人・前強化本部長によるパワハラ問題も底上げに水を差した。

 五輪前哨戦だった昨年の世界選手権(カザフスタン)で、女子の金は川井梨の1個だけ。日本協会はこの結果を受け、巻き返しにやっと本腰を入れ始めた。

 海外勢の映像分析に本格的に取り組み、あまり重視してこなかった精神面のケアにも気を配り、メンタルトレーナーの活用を促す。

 ただ、世界選手権で女子は川井梨以外の5階級で銀2、銅1のメダルを獲得した。「惨敗ではない。メダルの色は変えられる」との見方も日本協会内にはあり、危機感が共有できていない。延期の1年を復活への猶予期間ととらえられるか。

 世界連合は6月末までのすべての主催大会の延期を決めた。日本協会も4、5月の代表合宿を中止した。活動自粛で練習場所は限られ、本格的なトレーニングはできないが、オフシーズンが基本的にないレスリングでは特に、蓄積した疲労やけがの回復に充てる好機といえる。肩とひざのけがに苦しみながら、3月のプレーオフで2大会連続の代表切符をつかんだ女子68キロ級の土性沙羅(東新住建)は「準備期間が延びたことをプラスにとらえ、パワーアップしたい」と話す。(金子智彦)

レスリングの「現在地」

 日本は男子3、女子5階級の国別出場枠を獲得済みで、日本協会は選考基準を満たした男子グレコローマン60キロ級の文田健一郎(ミキハウス)ら8選手の代表内定を維持する方針。出場枠を獲得できていない男子フリー4、男子グレコ5、女子1の計10階級は来春開催予定のアジア、世界予選で代表権獲得をめざす。

記事後半では、競技を担当する記者が「現在地」から見た思いを語ります。

■選手の心情に寄り添って…

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