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 2年前に東北唯一の常設寄席として仙台市中心部にオープンした「魅知国(みちのく)定席 花座」が、新型コロナウイルスの影響で休演を余儀なくされている。厳しい状況下でも笑いを届ける使命を忘れまいと、オンラインでの配信に活路を見いだす。6月から公演再開の予定だが、配信も続けるつもりだ。

 10日、東松島市出身のお笑いコンビ「ニードル」が、花座で無観客独演会を開き、その様子を配信した。漫才をするのは約2カ月ぶり。

 「新型コロナはどうしても横文字を使うね。ロックダウン(都市封鎖)とか」

 「(東松島の商業施設の)ロックタウンね」

 「(東松島の)矢本の人しか分からないよ」

 スタッフの笑い声が上がる。会場には複数のカメラがあり、客がパソコンなどで視聴する初めての有料オンライン独演会(1千円)だ。通常は40席だが、この日は50人以上がオンラインで新作の漫才を楽しんだ。

 「花座で見ている感じで最高」など、オンラインでの客の反応は上々だったが、ニードルの伊藤政仁さん(35)は「ボケ、ツッコミ、次に笑いがないので伝わっているか不安」と打ち明けた。石垣進之介さん(34)は「高齢の方も見てくれた。オンラインで笑いを届けられるのは令和ならでは」と前向きだ。

 演者と客席の距離の近さが花座の魅力だが、密閉空間だけに対応が難しい。花座の席亭・白津守康さんによると、2月以降、客の減少が目立ち始めた。3月後半になると1日数人、時には1人にまで落ち込み、「登場する芸人のほうが多い状態」が続き、休演に踏み切った。今月も全公演を中止した。

 4月から新たな試みとしてユーチューブに「花座チャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCswY5e_bsGvPHm98gT_uLyg別ウインドウで開きます)を開設。白津さんは「こういう時期だからこそ笑いを届けないと。自分たちが落ち込んじゃいけないと思った」。出演してきた地元の芸人らに声をかけ、落語や漫才、漫談などを収録して配信を続けてきた。

 オンライン公演は、休演によって芸を披露する機会と収入を失った芸人を支える意味もある。白津さんは「板の上に立たなくなると、(芸のレベルが)劣化してしまうので人前で話す場をつくりたかった」と話した。

 6月からは、席数を減らすなど対策をして公演を再開する予定。それでも不安を覚える客に配慮して、配信は続けたいという。(高橋昌宏、志村英司)