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 感染終息の見えない新型コロナウイルスに、吹奏楽の祭典ものみ込まれた。全日本吹奏楽連盟と朝日新聞社が10日に中止を発表したのは、10~11月の全日本吹奏楽コンクール▽全日本小学生バンドフェスティバル▽全日本マーチングコンテスト。東京都内の学校からも「目標が消えた」などと落胆の声が聞かれた。

 吹奏楽コンクールの全国大会に14回出場し、うち9回で金賞を受けた小平三中(小平市)。部長の松井莉瑚(りこ)さん(14)は「本当に残念。いくら言っても言い切れない」と声を落とした。

 全国大会の舞台では、1~3年で45人(昨年時点)の全員で演奏する。基礎を徹底させるのが、顧問の澤矢康宏先生の練習方針で、休校中は生徒が楽器別のコーチに自分の演奏動画を送り、個別にアドバイスをもらってきた。オンラインで指導を受ける部員もいた。

 松井さんの担当はクラリネット。マンション住まいなので、公園など屋外で練習している。「友達とも会えない中、孤独な基礎練習を頑張ってこられたのは、全国という同じ目標があったから。昨年は全国を逃して、今年はと目指してきたので、悔しい」

 羽村第一中(羽村市)は昨年まで5年連続で全国大会に出ていた。部長の関口栞(しおり)さん(14)は「インターハイ(高校総体)も中止になり、(吹奏楽もかと)どこかで予想していたが、やはり悲しい」と話した。

 3月の定期演奏会も新型コロナの影響で中止になった。「なんとかみんなで演奏したい」と、部員やOB・OGが参加して、それぞれの演奏映像を集めた合奏動画をインターネットで配信している。演奏会定番の曲「宝島」の動画は再生回数が4万5千を超えた。

 玉寄勝治顧問は「非常に残念だが、吹奏楽がなくなるわけではない。部員の気持ちを尊重し、自分たちにできる音楽を続けていきたい」。関口さんは「今後のコンクールに向けて、新1年生に部活に入ってもらえるよう呼びかけたい」と話した。

 東海大菅生高(あきる野市)は昨年、初めて2年連続で全国大会に出て、連続金賞に輝いた。部長の石川凌大(りょうた)さん(17)は「(コロナの影響が)ここまで延びるとは思わなかった。3年連続がかかっていたのもあり、大きな目標を失った喪失感があります」と胸中を話した。それでも「支えてくれた人たちに演奏会などで恩返しできる日を目指して、前向きに考えていきたい」。

 加島貞夫顧問は「登校できない間も気持ちはつながっていたい」と、2、3年生計105人の部員らとLINEでやりとりを重ねてきた。練習法の動画も作成し、8回配信した。「残念だが、現実を受け止め、できることを考えていきたい。何らかの発表の場は残してあげたい」と話した。(石川瀬里、杉山圭子、川口敦子)

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