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 1966年、静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、再審請求中の袴田巌さん(84)を支え続ける姉秀子さん(87)=浜松市=の半生を漫画で描いた「デコちゃんが行く 袴田ひで子物語」が出版された。「袴田さん支援クラブ」の猪野待子代表=同=が「合理主義者で怖いものなし。それでいて他人に優しい、人生の達人」を多くの人に知ってほしいと自費出版した。

 秀子さんの子ども時代から青春時代、「袴田事件」の発生とその後長く続く裁判での戦いを描く。死刑判決確定後、静岡地裁で再審請求が認められながら、東京高裁で取り消されるなど様々な壁に突き当たりながらも決してあきらめず、弟の無罪獲得に向け活動する秀子さんの姿が浮かび上がる。

 その前向きな性格が最も表れたのは61歳の時。「巖が帰ってきたときに住むところがなくちゃ」と多額の借金を背負ってマンションを建設。「普通なら『終活』を始める時期なのにね」と本人もいい、「私は100まで生きるので『デコちゃん』は序の口。『第二部』にも期待していただきたい」と笑った。

 「秀子さんは元気あり余る人。生きるのに疲れてしまった人、ダウンしている人にこそ彼女を知ってほしい」と猪野さん。同時に「本を通し、この『冤罪(えんざい)事件』について少しでも知ってもらえれば」と話した。

 静岡新聞社刊、A5判、256ページ。1364円(税別)。(菅尾保)