吉永岳央
世界最高峰のエベレスト(8848メートル)に、日本人が初登頂してから11日で50年になる。松浦輝夫さん、植村直己さん(ともに故人)が命がけで立った頂上には、これまで世界で延べ1万人超がたどり着いた。難攻不落だった高峰は半世紀を経て様変わりし、限られた精鋭だけのものではなくなったが、今なお多くの登山者を引きつけている。(吉永岳央)
拡大する1970年5月11日、エベレスト頂上で日の丸を持つ松浦輝夫さん(公益社団法人日本山岳会提供)
エベレストは今年、例年にない静かな春を迎えている。登山の季節はモンスーン(季節風)の影響で天気が崩れる夏場を挟んだ春と秋。昨年は春だけで900人弱が登頂したとされ、この春もベースキャンプには巨大なテント村ができるはずだった。だが、新型コロナウイルス対策として、北側の中国チベット登山協会、南側のネパール政府がともに登山許可を原則停止し、入山できていない。
日本人で初めて8千メートル峰全14座を完登した登山家、竹内洋岳(ひろたか)さん(49)も5月11日を「特別な日」と位置づけ、「登山を受け渡してくれた先輩を思い起こし、その記憶を次に受け渡していきたい」と50年の節目の日の登頂を計画していたが、延期に追い込まれた。
1970年5月11日午前9時10分。「着いた……」。前進ベースキャンプ(6450メートル)で無線連絡を受けた副登攀(とうはん)隊長が震えるように発した言葉を、神崎忠男さん(80)は覚えている。松浦さん、植村さんが史上25、26番目の登頂者となった一報に周囲の全員が万歳、涙を流したという。
その数時間後、最終第6キャン…
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